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第47話 京都散策1日目

 東京駅で葉月先生を筆頭にクラスごとに集まり新幹線へと乗車した。  僕は新幹線に乗るのはこれが初めてで胸をわくわくさせながら席で寛ぐ。新幹線の席も班ごとにまとまって座るため、玲乃と隣同士になった。冴島くんはというとひとつ前の席で葉月先生と隣同士で座っていた。 「わあ。富士山だ」  目を輝かせて窓の外を見つめていると玲乃がスマホを取り出してカシャ、と写真を撮ってきた。不意打ちの撮影に僕は目を丸くさせる。その瞬間も何度も写真を撮られて、思わず顔を手で覆った。 「なに照れてんの。思い出に残そうよ。ほら、これとか良い笑顔だよ」  玲乃は写真を撮影するのが上手い。スマホの画面には目をきらきらさせている僕の横顔が鮮明に映っていた。冴島くんが「なんやなんや」と顔を覗かせる。 「おー。ええやんけ。これぞ修学旅行やな。ほな2人とも撮ったるで。はいチーズ」  ぐい、と玲乃に肩を抱き寄せられる。冴島くんに見られているからこの密着した距離感について何か思われないだろうかと勘ぐってしまう。カシャッとカメラのシャッター音が鳴る度に上手く笑えただろうかと僕の不安が募る。 「いいやん。これお前ら映りええわ。盛れとる」  そう言って冴島くんが1枚の写真を見せてきた。画面の中の僕が目尻を垂らして微笑み、玲乃は軽く唇を引き上げていてモデルのような『微笑』という笑い方だ。  さすがインフルエンサーだけあって玲乃の表情の作り方は完璧だ。僕はその写真をじっと見つめ、心の内側がぽかぽかと温まるのを感じた。  3人のグループチャットで写真や動画を共有する約束をしているのですぐに冴島くんがグループチャットに写真を載せてくれた。僕はそれを即保存した。  この写真スマホのロック画面にしたいな……。 「ほら。3人でも撮るで。はい、チーズ」  冴島くんが声をかけてきたので僕ははっとしてカメラを見つめる。ピースサインを片手に笑顔を浮かべてみる。  冴島くんは数枚カシャカシャとスマホを鳴らして撮ると、隣の席で居眠りをしている葉月先生も画面に映して4人で写真を撮った。葉月先生は熟睡中のようで起きる素振りは見せない。 「修学旅行終わったらこの写真、葉月センセに見せたるわ」  ぷくく、と悪戯っ子のような含み笑いをしている冴島くんに、それは後で葉月先生にゲンコツを食らうんじゃないかと僕は思い曖昧に笑って頷く。    2時間半かけて京都に到着した。まずはみんなで2泊3日泊まるホテルへと向かう。駅から近い都会的なタワーホテルだった。その1室に玲乃と僕、冴島くんが荷物を運んで寝るベッドを決める。 「4人部屋に3人って贅沢やなあ。俺、ここもーらいっ」  ばふん、と白いベッドシーツの上に冴島くんがダイブする。弾み心地がいいのかそのまま騒がしく跳ねている。それを横目に玲乃が自身のベッドを選んだのを見て、僕はその隣のベッドに荷物をまとめた。  時刻は13時過ぎ。この時間から最終日の新幹線の出発時間までそれぞれの班で自由行動になる。早速僕たち3人は昼食がてら京都の街並みを散策することにした。 「ここや。ごっつ美味いお好み焼き屋」  冴島くんにおすすめされていたお好み焼き屋に入る。暖簾をくぐると鉄板からジュージューと香ばしい鰹節の匂いが立ち込めた。  席に案内されメニューをみんなで見て選ぶ。冴島くんのおすすめの『明太もちチーズもんじゃ』『海鮮お好み焼き』『オムそば』を注文した。  まずはお好み焼きがやってきて、店員さんがその場で調理を始めた。素早い手さばきで具材を細かく刻むと丸く形を整えて焼き始める。その隣の鉄板で冴島くんが明太もちチーズもんじゃを作り始めている。僕と玲乃はその手伝いをする。鉄板の上の具材が焼ける美味しそうな匂いにぐるる、と僕のお腹が鳴る。2人がくすくす笑って1番最初に僕のお皿にお好み焼きをよそってくれた。

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