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第3話 こいねがう者たち *** 【終】

「カリスト様、朝からどうされましたか?」 「あ、いえ、少し沐浴をと思いまして」 翌朝、カリストはアダンに声を掛けられてびくりと肩を揺らした。 二人に見つかる前に済ませてしまおうと思ったのに、井戸の傍に居たカリストを起きて来た二人が目ざとく見つけたのだ。 「ああ……、カリスト様も気持ちが昂ったのですね」 ジウズに言い当てられ、カリストは頬を染める。 昨夜の二人の性欲にあてられたのか、カリストは珍しく朝勃ちしてしまったのだ。 先輩聖職者らしく性欲もコントロールできていて流石だ、と思わせたかったのに、こんな現場を抑えられてしまっては言い訳もできない。 「はい、まだ私も未熟で、恥ずかしながら……」 羞恥で俯くカリストに、ジウズが優しく声を掛ける。 「恥ずかしい、なんてことはないですよ。人として当たり前の欲求ですし、むしろカリスト様の人間らしい部分に触れることができて嬉しいです。私たちがお手伝いいたしますので、安心してください」 ジウズの言葉に、カリストはほっとして微笑む。 こんな姿を見られても飽きられることはなく、むしろ心強い仲間ができたと感じて嬉しくなる。 「……では、お願いできますか?」 カリストの無邪気なお願いに、アダンとジウズはチャンスが舞い込んできたと内心歓喜しながら頷いた。 「はい、喜んで」 「ではカリスト様、カリスト様のお部屋へ行きましょうか」 「はい」 カリストは二人と一緒に、自室へ戻る。 「カリスト様、裸になってください」 「え……?」 「でないと、法衣が汚れてしまいますので」 「あ、そうですよね……でも……」 それでももじもじと恥ずかしそうにするカリストに、アダンは「もしひとりで裸になることが恥ずかしければ、私たちも脱ぎますから」と促す。 「わかりました」 さっさと裸になった二人に促されると、カリストは素直に裸になった。 すらりとした細身の肢体を寝台に横たえたカリストを前に、二人は喉を鳴らす。 そして気を抜けば荒くなりそうな息を整えながら、ジウズはカリストの頭のほうへ、アダンは下半身のほうへと座った。 「あの?」 「では、カリスト様のお手伝いをさせていただきますね」 「はい、よろしくお願いします」 「私たちは聖職者様たちの行為を、道中何回も見ましたからね。安心して、身を委ねてください」 「はい……ぁっ」 ジウズには胸をそっと触れられ、アダンには陰部に指を這わせられた。 「あの、胸はなぜ……」 「ここに触れたほうが、早く煩悩が去りますよ」 ジウズが穏やかな笑みを浮かべて、カリストの不安を和らげてくれる。 なるほどと思ったカリストがふぅと力を抜いた時、にゅるり、としたものに自分の性器が包まれ、思わず驚きで身体を起こそうとした。 しかし、その動きはジウズによって阻まれる。 「ひぅ……っ、は、ぁあ、アダン、何を……っっ!」 今まで感じたことのない快感が、下半身からカリストの背筋を駆け抜けて脳天に響いた。 「口でするやり方もありますので、カリスト様も知っておいたほうがいいかと」 「く、口で、ですか……っ、でも、あ、ああ……ッッ♡」 一度も自慰をしたことのないカリストは、ペニスを包む柔らかい液体と粘膜の刺激でアダンの口内へあっという間に達した。 カリストの精液を喉の奥へ流し込んだアダンは、口元をぺろりと舌で舐めながら妖艶に微笑む。 「カリスト様、こちらのほうが冷水よりもずっと早い処理方法だったでしょう?」 「す、すみません、アダンの口の中に放ってしまいました……」 申し訳なさでいっぱいのカリストに、アダンは優しい声色で「問題ありませんよ」と囁く。 「本当に初めてだということがわかって、むしろ嬉しいです。では、このまま続けさせていただいてもいいですか?」 「え?」 性処理はもう終わったとばかり思ったカリストは首を捻る。 しかしジウズが自分の乳首を摘まみ上げた時、放ったばかりの欲が再び自分の下半身に集中したことがわかった。 「カリスト様、乳首が勃ち上がっていますよ。ピンク色の慎ましい、可愛い胸ですね」 「ああっ♡ んぅ♡ ぁあッ♡」 カリストはいやいやするように首を左右に振りながら、ジウズの両手を自分の両手で押し退けようとする。 しかし、線が細いカリストと、傭兵上がりの筋肉質なジウズの力の差は歴然だった。 「ぁんッ♡ は、放して、ください……ッ♡」 「いいえ、カリスト様の可愛い性器はもう復活していますからね、このまま処理してしまいましょう」 そのままジウズに乳首を弄られ、アダンにちゅこ♡ ちゅこ♡とペニスを扱かれ、カリストの腰は自然と快感を貪るように揺れた。 「カリスト様、手で扱かれるのもよさそうですね。上手に腰ヘコできてますよ」 「あん♡ ふぅッ♡」 「ああ、カリスト様。僕のペニスも慰めてくださいませんか?」 「え……っ♡ ああッ、昨日、あんなに、射精()したのに……っ」 二人に攻められ悶えるカリストの目の前に、ジウズのペニスがボロンと勢いよく突き出される。 むわり、とカリストが嗅いだことのない雄臭い匂いが鼻を掠めた。 アダンは一度カリストへの刺激を止めて、当然のように言い放つ。 「手を使うと時間がかかるかもしれませんね。先ほど俺がしたみたいに、口を使うのはいかがでしょうか?」 「え……」 カリストは一瞬ためらったが、後輩が自分に対してやってくれたことを先輩である自分ができないなどと言えるわけがないと、直ぐに覚悟を決めた。 「はい、では……」 ジウズの手から自分の手を離して、そっとペニスを持つと自分の顔に寄せた。 少し距離があったため、そろり、と舌先を伸ばす。 ペロペロと、目の前の棒を舐め上げる。 「く……っ、カリスト、様……ッ!」 「はぁ……この光景()だけで、抜けるな」 舐めるたびに、ジウズのペニスはびくんびくんと手の中で跳ね上がる。 責任感から夢中で舐めるカリストの姿に、二人は自然と荒くなる息を必死で落ち着けようとした。 「カリスト様、先端のくびれを舐めてくれませんか?」 「はい」 ジウズは顔を真っ赤にして、迫りくる射精感を必死に耐える。 「カリスト様、そのままだと咥えにくいでしょう。四つ這いになりましょうか」 「はい」 知識の乏しいカリストはアダンが促すまま、ベッドの上に四つ這いになった。 そして、目の前で膝立ちをしているジウズのペニスを、思い切って口内に含む。 「ん……ッ♡」 「ああ、カリスト様、カリスト様……ッッ」 「カリスト様は、歯をたてないようにするだけでいいですよ。あとはジウズが勝手に動きますので」 「ンフぅ」 ジウズがカリストの後頭部を両手で掴み、激しくしたい気持ちを抑えつつゆるゆると腰を振った。 じゅぼ♡ じゅぼ♡ という音を出しながら自分の口内に出入りするペニスを、カリストは受け入れる。 ジウズのペニスは太くて口内がいっぱいになりとても苦しかったが、えずかないように口と喉を開くようにして鼻で息をするように心がければ、辛うじて耐えられた。 歯をたてないように、口を広げっ放しにしようと意識すればするほど、口内に溜まった涎がぽたぽたと顎を伝って滴り落ちる。 「凄い、気持ちイイです、カリスト様……ッッ」 「その調子ですよ、カリスト様」 アダンは様子を見ながら、カリストの意識がジウズに向いている間に、ひくひくとすぼまっているカリストのお尻の中心に洗浄効果と弛緩効果のある香油を固めたものを挿入した。 そしてほんの少し色素の濃くなっているその蕾の皺にそって、舌を這わせていく。 「ああ、カリスト様、もう出ます……っ」 「んうう……ッッ」 カリストの拙い口淫でも耐性ゼロのジウズはほぼ我慢できるはずもなく、さっさと吐精した。 ジウズのペニスだけでもいっぱいだった口内に大量の精液が放出され、カリストは堪らず口を放す。 口から精液を吐き出しながらごほごほ、とむせるカリストのベッドシーツは、卑猥な匂いのする液体でぐちゃぐちゃになった。 「カリスト様、次は私もいいですか?」 今はちょっと無理です、と言おうとしたカリストは、お尻の穴に指を突き入れられたことに気づいて身体を硬直させる。 気付けば目の前のジウズがにっこりと微笑みながらカリストの両手を地面に縫い付けるように抑えつけていて、アダンを振り払うこともできない。 「高位の聖職者様たちはみんな、を後輩に使わせているんですよ」 アダンの言葉に、カリストは目を見開く。 ぐちゅうッ♡  「ひっ……」 ぐちょ♡ ぐちっ♡ ぐちゅぐちゅぐちゅッッ♡ 止める間もなく、大量の媚薬が塗布されたアダンの武骨な指が、カリストの狭い道を激しく掻き混ぜ、奥まで拓いた。 「いっ、は、はぁう……ッッ♡」 カリストはいやいやするように頭を振りながら、アダンの指から逃れるために腰をくねらせ尻を振る。 それが二人の目にはどれだけ淫靡で誘っているようにしか見えないことにも、気づかないままに。 目の前のすぼまりがひくりひくりと小刻みに反応するたび、仕込んで溶けた香油がたらたらと零れていく様にアダンはごくりと喉を鳴らしながら、酷く優しい声で尋ねた。 「痛いですか?」 「い、いえ、痛くは、ないのですが……」 カリストの無垢な身体に急に訪れた大量の刺激は、頭の回転を鈍らせるのには十分だった。 どう対処したらいいのかもわからないまま、生理的な涙がポロポロと零れて、カリストの頬を濡らす。 「カリスト様、可愛い」 ジウズはそんなカリストを愛しそうに目を細めて見つめながら、その涙を分厚い舌で舐め取った。 大きな犬に頬を舐められているようなその和やかな空気に、ようやくカリストの口が開く。 「アダン、指を抜いて、ください……そこは、不浄ですから」 「大丈夫ですよ、今洗浄しましたから」 ジウズがにこにこと答え、アダンはカリストに提案した。 「カリスト様、今日はここを使ってみるのはいかがでしょうか」 「え……っ」 アダンの性器が自分の尻穴に突っ込まれるところを想像すると、それは男女の営みと大差ないような気がして、怖じ気づく。 「それは……性交、では……」 「ははは、カリスト様。カリスト様のここは、排泄器ではありませんか。性器ではないでしょう?」 「はい」 「女性器に男性器を挿入するわけではありません。これは自慰の延長ですよ、ほかの聖職者様たちだってやっていることです」 ほかの聖職者もやっていること。 その言葉は、ほかの教会を知らないカリストの心にじわじわと浸透していく。 「そうですか。これは、普通のことなのですか?」 「ええ、同性の聖職者が複数いれば、普通です」 当たり前、とでも言うようなアダンの言葉に、目の前のジウズはうんうんと頷いた。 あと、少し。 凶悪な胸の内と自身のペニスを隠すように、二人はカリストに懇願する。 「どうか、私たちを教え導いてくださいませんか?」 教えを説くのは先輩聖職者の役目。 そう信じ込んでいるカリストは、ジウズとアダンを教え導くことは自分の役目だという自負があった。 ずっとひとりで教会を守ってきたカリストにとっては尚更だ。 それがたとえ、性欲処理だったとしても。 「わかりました、私に任せてください」 二人の後輩が、骨の髄まで自分を貪り食らう獣だということにも気づかないまま、カリストは使命感を胸に美しく微笑んだ。 *** 「ぁあッ♡ あああッッ♡」 「あー、カリスト様。排泄器を掘られて気持ち良くなってしまってるのですか?」 「ち、違います……っ! 気持ち良くなんてっ♡」 肉欲を禁じられているカリストは、首を激しく振る。 それでも、半開きの口からはだらしなく唾液が滴り、下の穴はアダンのペニスをぴったりと咥え込んで、出し入れされるたび卑猥に捲れ上がっては、その結合部からトロトロとした液体を零していた。 じゅぼ♡ じゅぶ♡ どちゅんっ♡ 「ああ“ッ♡」 下から突き上げられるたびに訪れる快感に、逆らえない。 「駄目ですよ、カリスト様。主は正直こそ美徳だとを教え説いています。聖職者たるもの、嘘はいけません」 戸締りから戻って来たジウズは、のんびりとそう言いながら気持ち良さそうに喘ぐカリストの胸を、乳輪に沿って強めに噛む。 「んああッ♡」 「ほら、気持ちイイって正直に言ってください」 歯形が残る程に噛まれても、カリストの表情は苦痛ではなく恍惚である。 「あ、いい……ッ♡ イイ、です♡♡」 「んー、ぐずぐずになっちゃったカリスト様、マジ可愛い。正直に言えたカリスト様には、大好きなところゴシゴシしてあげますね」 「僕も、カリスト様の大好きな乳首、痛気持ちいいと感じる限界まで引っ張ってあげます」 「んおお“♡♡!!」 アダンとジウズに代わる代わる躾けられたカリストの身体は、たった一カ月間で様変わりをしていた。 単なる排泄器でしかなかった慎ましやかだった穴は常にどちらかのペニスを咥え込む淫らな性器へと作り変えられ、小さく陥没気味だったピンク色の尖りは衣擦れからも快感を拾う長い乳首の性感帯へと変貌を遂げている。 常に襲い掛かる快感はカリストの正常な思考判断を溶かして、聖職者がとうてい一生口にしないような卑猥な言葉を口にするよう洗脳された。 二人の相手をしたあとは泥のように眠り、眠りから目覚めたあとも、二人の相手をさせられる。 早寝早起きという概念はそこにはなかったが、今までカリストのしていた仕事は二人が代わりにしてくれるようになり、教会の運営に支障をきたすようなことは一切なかった。 「カリスト様は本当に、俺たちの自慰のお手伝いが上手いですよね」 「は、はい……ッ♡」 褒められた喜びでアダンのペニスをきゅうきゅうと締め付けながら、カリスト様はうっとりと微笑む。 以前は清楚そのものだった微笑みは、今や快楽に堕ちた艶かしいものへとなっていた。 「もうそろそろ、カリスト様のおまんこで僕たちのおちんちんを一緒にもぐもぐできるようになりそうだ」 どれだけ激しい営みにも必死に食らいつき、美味しそうに口を広げてアダンのペニスを頬張るカリストの後孔に、ジウズは指を二本差し入れ鼓舞した。 「ああうッ……♡! はい♡ もっと、頑張ります……ッ♡♡」 「カリスト様、僕のおちんちん、お口でイかせて貰えますか?」 「はい♡ ジウズの、太いおちんちん、私の口に、ください♡」 ジウズが参加しやすいようにアダンとカリストは椅子から下りて、三人でまぐわう。 随分と巧みになったカリストの口淫でジウズが一発抜くと、アダンに「少し寝てくるわ」と伝えた。 「明日は僕の番ですよ、カリスト様。では、おやすみなさい」 「ええ、おやすみ、んぅ……ッ♡♡」 ジウズにキスをされ、カリストは教えて貰った通り、懸命に応えた。 「一生懸命舌を絡ませてくるカリスト様、可愛い」 とろり、と色欲を滲ませた表情で見上げるカリストを、ジウズはぎゅっと抱き締める。 「おい、さっさと離れないと、明日が辛いぞ」 「そうだね。名残惜しいけど、きりがないしね」 「ジウズ……っ♡」 ジウズの背中を見送るカリストをぐいっと引き寄せると、アダンは正常位で本格的に腰を振り始める。 「ほら、カリスト様。いつまでもジウズを見ていないで、少しは俺のことも見てください」 「あ……ッ♡ 私は♡ アダンの、ことも♡ 見てます、よ、あぁん♡♡」 「カリスト様、俺のおちんちん、好き?」 「好き♡ 好きです♡♡ アダンのおちんちん、長くて、奥のほう、凄くて」 「おまんこ、気持ちイイ?」 「はい♡ 気持ちイイです……♡♡ アダン、私のおまんこ♡ 奥のほう、たくさん突いて……ッッ♡♡」 「ああくそ、エロくなったカリスト様も最高だけど、心配になるな……っっ」 アダンはカリストの唇を貪るようにして深く繋がるようなキスをし、カリストが意識を飛ばすまで執拗に何度も体位を変えて交わった。 自分たちが、まだ孤児だった時。 カリストを初めて見た時から、アダンもジウズも、カリストが欲しくて堪らなかった。 だから、聖職者は主に一生を捧げるため、誰のものにもならないと知った時の絶望は計り知れないものだった。 成功して身を立ててからカリストを攫い監禁するつもりで金集めに没頭したが、図らずも聖職者たちの性処理事情を知ってしまい、カリストの傍にいなかったことを激しく後悔した。 自分たちが聖職者になるつもりなんてさらさらなかったが、それでもその仮面は、カリストの傍にいるためには最適である。 ――主は、孤児で何も持たない私たちが、純朴で無垢だった信者をひとりくらい堕としてしまっても、きっとお赦しくださいますよね? アダンとジウズは今日もそう神に請い願い、カリストを恋い願うのだった。

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