2 / 2
第2話 2 聖職者たちの性処理事情 **
翌日。
日の出とともに起きたカリストは、二人にあてがった来客用の部屋を訪ねた。
聖職者たるもの朝も夜も早いので、生活習慣を叩き込む必要があるのだ。
しかしカリストが部屋を訪れた時には二人は既におらず、外で剣の素振りをしていたことに驚く。
聞けば、傭兵時代も朝は早かったらしい。
次に、二人に朝食を作るところから指導しようとした。
しかし、どうやら傭兵時代も自炊は当たり前で、むしろ二人のほうがカリストよりナイフの扱いに長けており、カリストの出番はなかった。
また、質素な食事内容にも二人が耐えられるかを心配していたのだが、傭兵時代はカリストが食しているものよりさらに質素な、乾物だけの生活もしょっちゅうだったそうだ。
二人が作ってくれた朝食を食べ終え、それらを三人で片付けたあと、カリストは宗教の教えについて二人がどの程度まで理解しているかを把握するための質疑応答をした。
結果、二人とも信仰に対する理解は、熱心な信者以下だった。
これでよく弟子になりたいなどと教皇様に言えたものだなと思うレベルで、酷い。
「二人とも、聖職者になるならせめて必要最低限の教えくらいは学んでくださいね」
二人が今日やることは、教典の読み込み以外にない。
カリストはそう判断して二人に分厚い教典を数冊渡すと、自分は畑仕事へと向かった。
***
その日の夜。
食事を囲みながら夕食をいただいている時、カリストは信仰について二人から様々な質問を受けた。
因みに信仰の根幹にあるのは、質素・倹約・節制である。
「ですから基本的には、生活、お金、心の管理の三方面で控えめに生きる、という理念で動けば問題ありませんよ」
カリストは優しく、二人に教えを説いた。
「カリスト様、我々聖職者は性行為も禁止されているじゃないですか」
「ええ、そうですね」
「もしシたくなったら、どうしているのですか?」
「したく?」
二人の言葉に、カリストはきょとんとする。
「勃起した時です。自慰とかですませるのですか?」
「我々の神は、自慰も不適切な行為だと教えています。性的な意味合いを持って、自分や異性の性器に触れてはならないということですね」
「では具体的に、どうやって収めるのですか?」
「それは人によって様々です。煩悩が去るまでじっと待つ人が多いみたいですが、私の場合は冷水を浴びますよ」
「冷水、ですか……」
カリストの返答に、二人は顔を見合わせた。
そして、アダンが再び口を開く。
「俺たち、教会では聖職者同士が抜き合いをすると耳に挟んだのですが」
「ああ、同性の聖職者が複数いるところは、そうだと聞きますね」
カリストは頷いた。
教典が明確に禁止しているのは、自分や異性の性器に触れることである。
だから同性であればセーフ、という抜け道を使ったような解釈が、聖職者たちの間では暗黙の了解とされていた。
「ですがすみません、私は経験がないので、君たちにその方法を教えてあげられないのですよ」
「えっ……!?」
「カリスト様は、街に在籍していた時も、そうした経験がないのですか?」
二人はカリストの言葉に驚いて、思わず詰め寄る。
「ええ、ありません」
カリストは何をそんなに驚いているのだろうと思いながら再び頷き、説明を加えた。
孤児院のあった街では、まだ第二次性徴を迎えていない聖職者候補は、男女とも聖職者の共同棟に住まいを構える。
そして、男性は精通、女性は月経を迎えた時に、それぞれ性別で分けられた専用の棟に住まいを移すのだ。
普通は十三歳になれば男性専用棟に移動することが多かったが、カリストに至っては精通を迎えたのが十六歳と遅かった。
そしてそのタイミングで、カリストは高位聖職者から村への異動を言いつけられたのだ。
「ですから私は、専ら冷水です」
そんなカリストの話を聞いて、アダンとジウズは喜びを隠せずに満面の笑みを浮かべる。
目の前にいる見目麗しいカリストが誰にも汚されていないことが、奇跡だと思った。
「そういえば、当時あの街の教会の高位責任者は、女性の方でしたっけ」
「はい、とても尊敬できる、崇高なお方です」
こくりと頷いたカリストの言葉は、その女性への深い信頼を感じられるものだった。
もしかしたら、ほかの男の聖職者たちからカリストの身を守るために、辺境の地にある教会へやったのかもしれないな、と二人は推測した。
それは二人にとって、とても幸運なことだった。
しかしその高位責任者に感謝こそしたものの、今後のカリストの貞操を守る気など、二人にはまったくなかった。
***
「カリスト様、僕はどうしたらいいでしょうか。こんなになってしまいました」
その日の夜、三人で教会内にある井戸の傍で沐浴している最中、ジウズの立派な息子がそそり立っているのを見てカリストは目を瞬く。
沐浴とは冷水を浴びることと大差ない。
なのに元気になっているならば、カリストの伝授した方法はジウズには適さないのだ。
「これではなかなか寝付けず、生活が乱れてしまいます。どうか、助けてくださいませんか?」
どうしようかと悩んだカリストだったが、助けてください、というジウズの一言で、その胸には強い使命感が芽生えた。
カリストは恐る恐る、ジウズのペニスへ手を伸ばす。
やり方はわからないが、聖職者同士で助け合えばなんとかなる、はず。
「初めてなので上手くできるかどうかはわかりませんが、私が責任を持って、諫めますね」
「はい、お願いします」
カリストは、びくびくと脈打つその先端に触れて、いいコいいコと宥めるようにそっと何回か撫で下ろした。
「どうでしょう、煩悩は去りそうですか?」
「……いいえ、まったく去りそうにありません」
ジウズの返事通り、彼のペニスはカリストに触れられ、ますます元気になってしまう。
カリストは次いで、その先端を押し下げるようにして力を入れてみた。
下に向け続ければそのうち、その向きで落ち着くのではないかという安直な考えによるものだ。
そして当然、元気な息子を無理矢理下方向へ押さえつけられたジウズは、苦悶の表情を浮かべる。
「痛いです、カリスト様」
「す、すみません! 大丈夫ですか、ジウズ」
こうした二人のやり取りをカリストの後ろから見ていたアダンは肩を震わせながら笑っていたが、ジウズに睨まれて肩を竦め、口を開く。
「カリスト様、握ってみてはいかがですか?」
「ジウズの性器をですか?」
「はい、そうです。教皇様一行と同行した際、我々は聖職者たちがどのようにして発散していたのかを見たことがありまして」
アダンはその視線を、ぴたりと張り付いた沐浴用の生地ごしに透けて見えるカリストの臀部へ固定したまま、巧みに行為を誘導する。
「そうなのですね、ではやってみましょう」
素直に頷いたカリストの細い指先が、ジウズのペニスに絡まった。
「はぁ……っ」
「どうですか?」
甘い吐息を漏らすジウズに、カリストは期待をこめて尋ねる。
ジウズが答える前に、アダンがカリストの手にそっと自分の手を添えて囁いた。
「カリスト様、彼らはこうしていました」
そしておもむろに、じゅ、じゅ、とジウズのペニスを扱く。
どくどくと脈打つジウズのペニスが自分の掌の中でググッと膨張したのを直に感じて、カリストは無邪気にその成功を喜んだ。
「なるほど、これは効果ありそうですね、アダン。続ければ落ち着かせることができそうです」
懸命に自分のペニスを扱くカリストを見つめたまま、ジウズはフーッ、フーッ、と息をかみ殺しながらカリストに乞う。
「カリスト様、両手でお願いしてもいいでしょうか?」
「両手ですね、わかりました」
こくりと頷くカリストに、再びアダンは耳元で囁く。
「先端から出た体液を手につけて、ジウズのペニスを掌全体で覆うようにしてみてください」
「こうですか?」
「はい。そのまま滑りをよくさせて、扱くんです」
「なるほど、勉強になります」
カリストはジウズの先走りを自分の掌でペニスに塗り拡げながら、両手で懸命に擦り上げる。
じゅこ♡ じゅこ♡ じゅこ♡
先端からだらだらと先走りを流しながら、ジウズはその快感に身を任せた。
「く……っ、は、ぁ……っ」
カリストは自分のお尻にアダンの硬いモノが当たっていることに気づかないまま、初めての行為に緊張しながらも没頭した。
「ああ、もう、ヤバイです……カリスト、様……っ」
「ジウズ、どうぞ放ってください。欲はさっさと吐き出してしまいましょう」
「カリスト様……ッッ」
「わっ」
どぷ、と見たこともない量の精液がジウズのペニスから放たれ、正面にいたカリストは顔でそれを受け止めた。
最後の一滴まで気持ち良さそうに放出したジウズは、白濁した液体がべっとりと張り付いたカリストの顔を見て慌てる。
「すみません、カリスト様。お顔を汚してしまって」
「大丈夫ですよ。どうでしょう、すっきりしましたか?」
「はい、少しだけ」
嬉しそうに微笑むカリストに、ジウズはこくりと頷いた。
少し、という返事に疑問を抱いたカリストが視線を落とすと、そこには再び元気を取り戻した男根がムクムクと動いている。
「えっ……!」
驚きに目を見張るカリスト。
はからずも顔射してしまい、カリストの美しい顔にはまだジウズの精液がかかったままで、その光景を前にジウズの興奮が冷めるわけはなかった。
「カリスト様、もう一度お願いできますか?」
「カリスト様、俺もお願いしていいですか?」
「え? はい、もちろん……」
すぐに元気になってしまったジウズの息子を見て、自分のやり方は合っていたのだろうかと不安に駆られながらもカリストが後ろを振り向くと、アダンのペニスも元気にそそり立っている。
その日カリストは、直ぐに元気を取り戻してしまうジウズとアダンのペニスを両手で何度も扱いて、その欲を吐き出させた。
ともだちにシェアしよう!

