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傷付けられないで。 6
信じられなくて、胸の中が妙な感情でいっぱいになって、それは涙にはなるのに言葉には全然変換してくれなくて。
「…イヴィト殿が…じゃ…邪魔だなんて…」
ヴェネッタがやっとそれだけを言うと、イヴィトはどこか呆れたようにため息を溢している。
「…俺は結構…先輩にとっては邪魔かもしれんで…」
「なぜ、ですか…?」
「…だって……先輩が泣いとったら…、抱き締めたくなるもん…」
信じ難いけれど、それは本当のことなのだろう。
でもヴェネッタが一番信じ難かったのは、そうされたら良いだろうな、なんて考えてしまっている自分に対してだった。
「……あはは……」
ヴェネッタは涙を溢しながら力無く笑った。
滲んだ視界の中で、イヴィトはなんともいえない顔をしていた。
そんな顔はしないで欲しくて、少しだけ両手を広げてしまう。
「…じゃあ…、そうして…みますか…?」
イヴィトは泣きそうに顔を歪めてヴェネッタの身体を抱き締めた。
誰かに抱き締められたのなんて初めてかもしれなかった。
だけど何故か沢山涙が溢れてくるので、ヴェネッタはよく分からないまま
自分の身体を包む暖かな温度を感じていた。
「…っ…ヴェネッタ先輩……」
ぎゅう、と強く抱き締められると頭がぼうっとなって
それはいつも彼の背中に張り付いている時みたいに
それ以上に、なんだか安心出来るような感覚だった。
だけど何故だか涙がどんどん溢れてきてしまって、ヴェネッタはイヴィトに抱き締められながらもとろとろと泣き続けてしまった。
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