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手紙 4
あまり良い思い出の残っていない家は空っぽになって、もう無関係の家になってしまった。
ヴェネッタは、売却した屋敷の金額と祖父の遺してくれた隠し遺産で罰金を支払った。
本来は祖父から爵位と共に引き継いだ“指輪”を使って謎解きをせねばならなかったようだが、ローラのおかげで裏技攻略をしてしまったらしい。
こんな事で良いのだろうかと罪悪感を感じていたが、
きっとご先祖様が助けてくれたんや、というイヴィトの言葉に救われてヴェネッタはそのお金をありがたく使わせて頂く事にしたのだった。
結局覚悟していた400ヶ月の支払いは1ヶ月もしなくて良くなって、なんなら、ほんのわずかではあるが手元にお金も残った。
ヴェネッタは、以前の日常と同じように学園で勉学に励み
イオンの会社を手伝ったり、外部から注文の入った魔道具を作るような日々に戻っていた。
少々お金に余裕が出て来たとはいえ、学園を卒業した後のことを考えれば少しでも貯めておいて損はないだろうし
そもそも節約する金すらなかったようなヴェネッタは今更金を使えと言われても、どう使えば良いのかすら分からないのである。
帰る家も、爵位も、結局は父親も。
全てを無くしてしまったと言っても過言ではなかったけど、ヴェネッタは色々なものを得ている気がしていた。
よき友人とか、信じるべき教えとか、
それから大切な恋人とか。
何を以てして幸せと定義付けるのか、と祖父は悩んでいたようだったけど
ヴェネッタは自分なりの答えを見つけられている気がしていた。
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