169 / 169

強くて、弱くて 4

「俺は最近思うのですよ。 人は…何かの行いで誰かを救う時もあるし、救えない時もある。 救ったつもりでもそう出来なかったり…そんなつもりは無くても救う事ができたり… それはあまり自分では操作できないのです。救われたかどうかなんて相手の領域の話ですからね。」 レンシアの落ち着いた声を聞きながら、イヴィトは穏やかな寝顔を晒しているヴェネッタを見つめた。 「安心して嬉しくて、だけど不安で苦しくて。 それでも向き合いたいと…向き合ってくれていると思える人に出会えたことが、幸せなのだろうと俺は感じるのです。」 それでも、傍にいたくて堪らなくて。 触れたくて、知りたくて、なんだって話してほしくて。 この苦しみがなくなるとしても、 彼のいない世界は果たして幸福なのだろうか? イヴィトは小さく、吐き出すように笑いながら頷いた。 「そう、やなぁ……」 目の前にいる“友達”は優しく微笑んでいる。 どんなに傷付いたって傷付けられたって、きっと 人は幸せを見つけ出そうとしてしまうのだろう。 幸せと同じだけ苦しんでしまうとしても、 それでも。

ともだちにシェアしよう!