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第10話
「嬉しい……湊、ちゃんと準備してきてくれたんだね……港のここ、すごく綺麗だ」
一磨は僕を四つん這いにして尻を持ち上げると、背後から、僕の秘部を執拗に舐め続ける。その舐め方は、まるで舌先に媚薬でも仕込まれているみたいな巧みさで、僕に何度も鋭い愉悦を与える。
「ああ……一磨っ、そこ、もお、いいっから……あんっ」
僕がそう言って懇願しても、一磨はそれをやめようとしない。むしろ、その舌先はひどくイヤらしい触手のように僕のそこを責め続ける。
「ううっ、一磨……」
一磨は僕の秘部を舐めながら、今度は僕の中心を掴んで扱き始めた。僕はその突然の愛撫に、体をヒクつかせながら喘いだ。
「あっ、あっ、ダメダメっ、いっちゃうからっ、僕は、一磨と一緒にイキたいのにっ」
「……はあ、湊、そんな可愛いこと言わないでよ。俺が我慢できなくなる……」
一磨は苦しそうにそういうと、やっと僕への愛撫を中断してくれる。
「うっ、うっ、僕だけじゃ嫌だって、一緒にって、んっぐ、言ってるのに……」
僕はイキそうな状態に情緒がおかしくなってしまい、思わず涙ぐみながらそう言った。
「ああ、ごめん。湊……泣かないで」
一磨はそう言って僕を優しく抱きしめた。でも、間髪置かず、いきなり僕を仰向けに寝かせると、今度は僕の中心を口に含もうとする。
「うあっ、だから、待ってよ、一磨、ダメだって!」
僕は慌てて腰を引こうとしたが、一磨にしっかりと腰を掴まれてしまい、無駄な抵抗に終わってしまう。
淫猥な水音を立てながら、一磨は僕の中心をエロティックに愛撫する。僕は心臓が爆発しそうなほど苦しいのに、そんな一磨の姿から目が離せない。
「あっ、あっ、ダメダメっ……また、いちゃうからっ」
僕の言葉など聞く耳も持たず、一磨は僕のそれを口で愛撫しながら、同時に乳首を中指で擦るように刺激する。その乳首からの愉悦がダイレクトに僕の中心に伝わってしまい、僕の中心は、一磨の口の中ではちきれそうなほど昂ってしまう。
一磨は一旦僕の中心から口を離すと、そのまま舌を僕の上半身までイヤらしく這わせた。核心部分に一磨の舌が触れた時、僕はビクビクと体を震わせながら、その快感に素直に反応してしまう。愛撫していない方の乳首は、また中指で掠めるように擦られ、両乳首を同時に責められた僕は、それだけで達してしまうほど感じてしまう。
「ううっ、う、か、一磨っ」
一磨は執拗に僕の乳首を舐め上げた後、仰向けのまま僕の足をM字にして開かせると、僕の秘部に、ローションを塗った指をゆっくりと挿入させた。初めての僕が傷つかないよう慎重に丁寧にそこ解そうとしてくれる優しさに、僕はまた違う意味で涙が滲んでしまう。多分、一磨もかなり限界に近い状態にあるというのに、一磨はいつだって僕を最優先に考えてくれる。
「二本指入った……そろそろ大丈夫かな……」
一磨はくちゅくちゅと水音を立てながら僕のそこを広げていく。長い一磨の指が僕の前立腺らしき部分を掠めた時、僕は腹の奥に劈くような快感が走った。
「はあっ……やばいっ」
僕は首を仰け反らせながら叫んだ。男同士の性交にこんな快楽があることに、本当に心の底から驚いてしまう。
「……湊、最高の反応してくれて、俺もう頭爆発しそう……」
一磨は眉間に皺を寄せながら苦しそうにそう言うと、猛然と僕にキスをした。舌を通して、僕に愛情と欲情を必死に伝えようとしてくるその行為に、僕は泣きそうなくらい感動する。
「ふん、うっ、一磨……大好きだよ……ああっ、本当に、本当に、大好きだよっ……」
僕は一磨の首に腕を回し、自分の溢れる思いを吐露する。この感情は紛れもなく真実で、一磨を好きだと口にすればするほど、全身に強い幸福感が漲っていく。
「ああ、俺も、俺も湊が好きだ……湊じゃなきゃダメだ……世界で一番、湊を愛してる!」
一磨から出た『愛してる』の言葉に、僕の心臓が破裂するほど痛い。この痛みを僕は一生忘れない。一生消えることのないようにこの胸に深く、深く刻みたい。
一磨は僕の秘部からそっと指を抜くと、自身のそそり勃つ中心にローションを塗り手繰った。ぬらぬらと輝く一磨のそれは、自身の完璧な容姿と同じように完美で麗しい。
僕は期待と不安を綯い交ぜにしながら、一磨の中心を食い入るように見つめた。今からついにそれが自分の中に挿ってくるのかと思うと、興奮で頭がショートしそうになる。
「湊……いくよ」
一磨はそう言うと、僕の秘部に自身の中心の先端を押し付けた。でも、もちろん一気には挿入せず、そこでわざと焦らすように、僕の秘部の入り口に、自身の先端を、円を描くようにヌチョヌチョと擦り付けている。
「うあっ、一磨っ、焦らさないで……お願い、ううっ、早く挿れて……」
僕は一磨のその行為に耐えきれず、一磨の腕を傷つけてしまうほど強く掴みながら、涙目で訴えた。
「待って、湊……俺やっと……湊を抱けると思うと、色んな感情が溢れてきて……ああ! くっそ! ごめん湊……多分俺、優しくできないかもしれない!」
「構わないよ……一磨になら何をされてもっ」
僕はそう言うと、自分の腰を持ち上げぐいと一磨の中心に自分の秘部を押し付ける。その時、僅かに一磨の先端が僕の秘部の中に入ったかと思うと、その後は、目から火花が散るほどの衝撃が、僕の下半身を激しく貫いた。
「はああっ! ああ、あっ!」
僕はその衝撃に自分でも信じられないくらい大きな声が出た。知らなかった。相手の性器が自分の中に入って来る衝撃がこれほどのものだということを。こんな風に自分が、一磨のそれを呑み込み、包み込む感覚に、言葉では言い表せないほどの強い幸福感を覚えることに。
「湊! 湊!……はあ、はあ、うううっ、愛してる! 愛してる!」
一磨は僕の中に挿った途端、我を忘れたように腰を激しく振った。それは本当に『優しくできない』という言葉の通りに。
僕は、僕の目の前で理性を失う一磨を、興奮しながら必死に見つめた。素直に嬉しいという感情が心を躍動させる。僕を抱けることに悦びを感じている一磨に、僕は今、強く、強く歓喜している。
「一磨! 僕も、僕も……愛してる……ずっと、ずっと……愛してるよ!」
僕たちは、お互いへの思いを爆発させながら繋がり合う。一磨が強く僕に腰を打ち付けるたび、僕の性感帯はそれを素直にキャッチし、僕に強い愉悦を与える。その愉悦は、僕でも知らない、心の奥の奥にある、多分僕のコアみたいなものに容赦なく触れてくる。
知らなかった……大好きな人とのセックスって……こんなに、こんなに気持ちがいいなんて。
「うあっ、湊、イっ、はあっ、あ、イ、イキそっ」
僕たちは両手を、指を交互に絡ませながら掴み合うと、お互いを熱く見つめながら、その瞬間を待ち侘びた。
「うっ、んんっ、ぼ、僕もっ……はああっ、一磨、一緒にっ」
僕の言葉を合図に、一磨は僕にキスを落としながら、更に強く腰を打ち付ける。一磨の腰使いは巧みに、僕にオーガズムを与える場所を見事に抉って来る。その刺激がしばらく続いた時、僕と一磨はついに、気が遠くなるほどの愉悦を感じながら、一緒に果てることができたのだった……。
了
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