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告白されたから付き合った。断る理由も無くて別に良いかと頷いた。特に最初から仲良かったかと言えばそんな事も無くて、中学も違うし、クラスも違う。委員会も部活も違った。そんな彼女が俺を好きになったのは所謂『一目惚れ』 入学式の人が溢れる体育館で見つけたんだって。それを運命だと気恥しそうに笑っていた彼女は、今では他校の先輩と仲良く浮気中だ。そのくせ、別れるのは嫌だって泣かれてしまった。 「なー…タチバナ。ちょっと人生相談」 「なに」 隣から煙の匂いがふわりと香った。毎回、銘柄の違う煙草で今日はタールが重いのを吸っている。バイトしているコンビニで覚えたソレは、タチバナと会話するには丁度いい話題。 「俺さァ……彼女じゃ勃たなくて」 「おもっくそシモの話じゃん。午前中なんだけど」 そう言いながらタチバナはアハハと笑い出す。 少し緊張していた俺の体から力が抜けて、急に疲れが増したように思えた。小さい溜息と一緒に、ドサッと草の上に寝転んでタチバナを見上げた。 「ごめんて」 いじけたような俺の姿に、まるで子供をあやす様な優しい声でタチバナはそう言った。相変わらず不健康そうな後ろ姿をジリッと見つめていた。珍しく結んでいない髪が、パサリと風に揺れて見えたのは色の白い項。鬱血の痕。それから痛々しい歯型。 「痛そう」 思わず出た感想にタチバナは少し困惑していた。それから何か考え「あー」と項垂れたように首を押さえた。反応したのはその一瞬。いつも態度の変わらないタチバナが不機嫌に見えた。 「なんか痛ぇと思ったわ」 「タチバナってどっちもイけるって噂、ほんと?」 ぬるい風が通り過ぎて、カラスが鳴いて、河川敷を走るランナーが見えて、日常がダラダラと流れて行く。俺はぽつんと取り残された気分で、聞かなきゃ良かったと後悔が押し寄せていた。タチバナも普段通りの飄々とした態度で、だけど少しだけからかったような子供っぽい表情で俺を見つめている。タチバナの前で被っていた猫がどっかにきえた。居心地の悪さに耐えられなくて吐きそうだ。 「あっはは、お前もしかしてそれでアソコに来たんだ。優太クンってばピュアな奴」 嫌な程に察しが良い。タチバナの中で遠回りな俺の質問の、くだらない本当の意図が見えたようだ。余計に居心地の悪さが増した。このまま家に帰ってしまいたいとも思った。最悪。 「いや、タチバナと会った時は状況が状況だったじゃん。てか自殺したい理由ってソレ?」 「違ぇけど。」 信じ難い噂はどうやら本当。 同級生のミナトが意気揚々と、それでいて少し他人事のように言っていた。 ○○公園の公衆トイレでセックスして金を稼いでいる奴が居るらしいよ。男なんだけどさ、男女どっちもイけるらしくてさ。EDも治るフェラの上手さなんだって、マジで誰か確かめに行ってくれねーかな。ノリノリで動画撮るわ。売ったら高く付きそうじゃね?確か名前は___タチバナサン。

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