8 / 8
第8話
まだヒートが抜けそうにないギルのために、イリスは擬似的なセックス──素股をしよう、と提案をした。
腹の中を満たすわけにはいかないけれど、それに似た行為をすれば多少は慰められるのではないか。もしそれでも足りなければ、玩具なりなんなりを買ってきて手伝う、とまで言いのけたのだ。
イリスがギルの脚の上に乗る。重い体重がのしかかって、まるでギルの退路が完全に断たれたような心地がした。
ぼうっと霞む思考は、どんどん熱に侵されていく。
──早く目の前のアルファがほしい。
それだけが意識の中をぐるぐると回り続けている。こんなの、生き物としていけない。人として、理性を手放すなんて、獣以下にも劣ってしまう。
そうとわかっているのに、ギルは熱に導かれるまま、彼の体に手を伸ばす。
「……イリス」
「そう物欲しげな顔をせずとも、きちんと気持ちよくしてあげますから」
イリスは困ったように笑ってギルの額に口付けた。たったそれだけで体がぴくりと反応する。彼はばさりとシャツを脱ぎ捨て、そのまま乱暴にスラックスを下着ごと脱ぐとベッドの下へ放り投げた。
彼の黒い尾がふさりと揺れる。綺麗な毛並みだった。
ギルのことを見下す瞳は今にもとびかかり、喰い荒らす機会をうかがう獰猛さだ。視線の熱に表皮がざわつく。視線だけでナカを抉られているようだと思った。
「っふー……」
彼の手が、彼自身に伸ばされる。それを目で追うと、イリスの陰茎が見たこともないほど大きいと気づく。
ごくり、喉が鳴った。
こんなサイズ、見たことない。だって家にあるどの玩具よりもでかい気がする。
コレ、本当に僕のナカに挿れてくれるのか?
ギルはイリスの腹の凹凸を撫でた。筋肉に沿って、するすると指を下へ動かしていく。イリスが息を呑んだ気配がしたが、そんなことにかまってられず、視線はずっとそれ単体で生き物のように時々震える陰茎に注がれていた。
「……、見過ぎですよ」
「……ん」
イリスの手が、いたずらをしていたギルの手首をつかむ。あとちょっとでその熱に触れられた。
阻止されたのが悔しくて、ギルは何も考えずに舌を突き出す。
自分の上で、獲物を喰らうために観察している捕食者に、舐めるように宙で紅い舌をちろりと動かす。
「っ、ギルさん……あなた、処女でしょう?そんな煽り方、どこで知ったんですか……そういう、えっちな動画でも、見てるんですか?」
掴まれた手首の薄い皮膚を、イリスのざらついた舌が舐めあげる。微弱な電流が走って、ギルは吐息を漏らした。
「……見て、た」
「そう。動画の中のちんぽと、私のはどっちがギルさんの好みですか?」
手首に口づけ、そのまま彼の視線がギルを見つめる。口は勝手に動いていて、「イリスの」と、そう答えていた。
「ふふ……そうですか。それはよかった。でも、今日はこれはあげられませんよ」
イリスは苦しそうに息を吐いて、ギルの痛いくらいに勃ちあがっていた陰茎と、彼自身の長大なそれをひとまとめに握り込む。
にちゃ、と濡れた音が響いた。
敏感な粘膜同士が、硬くて熱いぬるついたものと擦れあう。
「っあ!」
尾てい骨から脊椎までを電流のような快感が駆け抜けた。
「きもち、いいですね……」
耳を撫でるのはいつもより掠れて低い、雄の声だった。ぞくぞくと愉悦に精神が撫でられ、身体の芯から愛撫される。
「ぅ、ああ゛ッ!!」
「っは……は、はー……」
ぐぢゅぐぢゅ、ぬちゅ。濡れた音を立てて二本の陰茎が扱かれていた。硬い芯を持ったそれがぶつかってごりごりと扱かれていく。腰は勝手に浮き上がってかくかくと震えだす。
「あッ!あッ!!あーッ!?ん、ぐ、ぅゔッ!!あッ!おかしぐ、なぅッ!!しぬッ!あぐ、ぅ!?こ、んな、のッ……ぃ、ぎッ!!あ!あ゛ッ!!やだッ!しらな、しら、なぃッ!!」
「バージンには、全部の刺激が強いでしょう、ねっ……」
「ぅあッッ!!や、ぁあッ!!も、あ、あーッ!!イぐ、ん、ぐ、ぅうゔ!!イ、っぢゃ、あ、あああ゛ッッ!!」
数度擦られただけで、がくがくと腹が痙攣する。口から唾液が滴っていく。いつもより何十倍も気持ち良くて頭がしびれていく。
「イきそう?」
「だ、めッ……!!イ、ぐ、ぁ、あッ!!イ、っちゃ、あ、ぁあ~~~ッッ!!」
身体が張り詰めた。息が止まって腰にたまっていた重たい欲がこみ上げる。どぷり。イリスの手の中に精液が吐き出された。
「……っ、は……あ~~~……っ」
枕に押し付けていた後頭部から沈み込む。全身から力が抜けていく。頭がかすんでいる。
ともだちにシェアしよう!

