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第21話

ウォルトが迎えに来たのはそれから三日後のことだった。 「待たせてごめんな。全部終わったよ、レイ」 「これからは俺がウォルトの側にずっといるから、だから……」 「あぁ、言わなくても分かっているよ。ありがとうレイ」 ウォルトと手を繋ぎドアを開けると、騎士団が左右に一列に整然と並んでいた。ミゲルたちもいた。 「帝国の太陽であらせられる皇帝陛下、皇后陛下に敬礼」 一斉に最敬礼をするその光景は迫力があり、帝国の強大な力を誇示するものだった。 北部が帝都になり早五年。半永久的に凍土と化し人が住めなくなった旧帝都から国民のほとんどがここに移住してきた。腐敗した国を建て直し善政をしくウォルトは国民に慕われている。五年前まで年中雪に閉ざされていたのが嘘のように、水と緑が豊かな肥沃な大地へと劇的に変貌を遂げた。 日課の散歩をしていると、 「パパ」 四歳になった長男のエドガーがかけてきた。 「走ったら危ない。やっと足の怪我が治ったのに」 ウォルトが慌てて追い掛けてきた。 「あかちゃんにあいさつがしたかったの」 むっと膨れっ面をするエドガー。 「そういえば明日だな。エレンとユ―リの結婚式」 「そうだな。いつのことになるやらと嘆いたがまさか五年後になるとはな」 あのあとすぐにユ―リはエレンさまとの子を授かった。悪阻が酷くて体調が悪く結婚式は延期になった。 最初の子が難産でもう子どもはいらない。一人で十分と言っていたのに、まさか三年連続で子どもを産むとは。ユ―リは今、四人目を妊娠中だ。 恥ずかしながら俺も二人目を妊娠していることが先日分かったところだ。 目の回るような忙しい日々を送るウォルト。すれ違いになりがちで、二人きりになるチャンスがなかなかなかった。 ミゲルたちに勧められ、ウォルトと二人きりで念願の旅行に出掛けた。海を眺め、屋台で美味しいものを食べ、宿泊先の辺境伯の屋敷に着いたと思ったらエレンさまの神殿に瞬間移動していた。 一泊するはずが結局丸二日部屋にこもり、いつ以来振りか思い出せないくらいに久し振りの夫婦二人きりの時間をすごした。 双子かもって医者からは言われた。 元気に産まれてきてくれればそれでいい。 まだなんのへんてつもないまっ平らなお腹に顔を埋め嬉しそうに頬擦りする我が子に目を細めた。 ウォルトはいちいちめんどくさくて焼きもちやきで子どもよりもかなり手がかかる。でも、愛するべき家族と仲間たちと巡りあえたことには感謝しないといけない。 二十年も一緒にいる幼馴染みの執着心を侮っていた俺は、三度目にしてようやく幸せをつかんだ。

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