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第20話
「陛下からこれを渡すように言われました」
透明な水晶玉を差し出された。
「これを見れば分かると仰っていました」
おずおずと水晶玉を受け取ると不思議なことに画像が流れてきた。
漆黒の空を焦がすほどの真っ赤な炎が勢いよく燃え上がっていた。宮殿だろうか、炎に包まれている。これは幼いときのウォルトの記憶だ。力が暴走し母を焼き殺した、本来なら処刑されるべきところだが子どもだからと、廃嫡され国外追放された。ウォルトをとり囲む近衛隊。ウォルトは手足を拘束されて地面に転がされていた。母上!と泣き叫んでいた。化粧の濃い、真っ赤なドレスを着た女が大きなお腹を擦りながらゲラゲラと笑って見ていた。その女に見覚えがある。ウォルトの継母だ。野心家で浪費家で派手好き。女好きで有名だった皇帝には皇后の他に何人もの側室がいた。そのうちの一人の側室の侍女として皇宮に上がり、その美貌からすぐに皇帝のお気に入りの愛人となり、皇后にまでのぼりつめた。皇后の隣には皇帝ではない若い男がいた。
「皇帝の座を息子である第四皇子にどうしても継がせたい皇后は手段を選ばず第二皇子と第三皇子を暗殺しました。父親殺しのえん罪をかけられて処刑される未来が見えていたのでしょう。陛下はク―デタ―を起こしました。長らく病床にいた皇帝が息を引き取るのを見届けてから、皇后一派を一人残らず家族も含めて全員捕らえ、縁故の者も一族郎党根絶やしにするため全員捕らえて、宮殿に押し込めて火を放ちました。皇帝は真実を知りましたが何もかもが遅すぎました。せめての罪滅ぼしにと陛下を呼び戻して皇太子に任命したんですが皇后はそれが面白くなかったのでしょうね」
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