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第19話

「エレンさま、もうだめっ……許して……ああン……」 甘く切なげなすすり泣く声が隣から聞こえてきて驚いて飛び起きた。ジルさまが隣にいたから二度びっくりした。 「エルフには発情期があることをご存じですよね?」 「はい。発情期が終わるまで昼夜問わず獣のように番とまぐわい続ける。かなりの、その……絶倫だとも聞いてます」 「そうです。さすがはレイモンド卿。博識でいらっしゃる。番さまが子を孕むまで少なくてもあと五日、レンは番さまを離さないでしょうね。結婚式を挙げられるのはいつのことになるやら」 やれやれとため息をつくジルさま。 「あと五日も?ユ―リの体は大丈夫なんですか?」 「エレンが世話をするから大丈夫ですよ。エルフは自分以外の他の雄が番に近付くのをすごく嫌がりますからね。私もですけど。陛下が理性のある方で良かったですね」 あれで、と思わず言いかけて慌てて言葉を飲み込んだ。 「陛下は後片付けをするために一旦戻られました。レイモンド卿、別室に案内します。そこでゆっくりと休んでください」 「もう、もうダメ、ダメって……あっ、ひっ……ん、んん、あぁ……」 「さっきからずっとイキっぱなしですね。私の可愛い子羊ちゃん」 まるで砂糖菓子のように甘く蕩けるエレンさまの声。 「陛下がまだいると思ってわざと煽って、相変わらず性格が悪い男だ」 不機嫌そうにジルさまが壁をコンコンと軽く叩くと一旦は静かになったけど、腰を押さえだるくて重たい体を引きずりながらやっとの思いで廊下に出ると、鼻についたような甘ったるい喘ぎ声がまた聞こえてきた。 「一番こめんどくさい男に掴まり御愁傷様です」 ジルさまがぼそりと本音を漏らした。

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