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第202話

*** 元の日常が戻ってきた。 面倒くさくてたまらなかった学校も、留年するかもしれないと凛ちゃんに教えられて、太陽と必死に通い、晴れて次に進むことができるようになった。 「すごく迷惑だったよ。新奈ちゃんのことは俺に押し付けるし、2人とも学校にこないからつまんなくてサボってたら、俺も留年の危機だとか言われるし」 「サボってたのは知らねえよ」 コーヒー牛乳をチューチューとストローで飲みながら、凛ちゃんの言葉に太陽がすかさずツッコミを入れる。 「うるさいよ太陽。誰のおかげでやばい状況だって気づけたと思ってんの?」 「…凛のおかげだな」 「だろ。なら感謝すれば。」 太陽はぶすっとした顔で凛ちゃんをみて「助かった」と小さな声で言う。 「それにしても、二人とも今はまともな生活してるんだよね?もう死ぬかもってことなさそう?」 「まあ、そうなったらそうなったで、死ぬ気はねえしな」 「…何があっても巻き込まないでね。…ちょっと、ねえおい架月聞いてんのかお前」 「えっ!?」 凛ちゃんと太陽の話に飽きて外を見てたら、低い声で凛ちゃんに名前を呼ばれて驚いた。 「聞いてなかったね。」 「…き、聞いてた」 「あ、そう。ならさっき言ったことは守ってね」 「…うん」 あとで太陽に内容を聞いておこう。 「あ、今日兄貴と出掛けるんだった」 「俺も朧と出かける予定」 「早く帰らないと。太陽はどこ行くの?」 「さあ。朧が決めてると思う」 「…なんだよ二人して、俺も連れてけよ」 凛ちゃんが拗ねた様子でそう言うから面白くて、太陽と二人でニヤリと笑う。 「凛ちゃんは寂しがりだもんなぁ。本当は俺らが来なくて寂しくて仕方なかったんだろ」 「それならそうとはっきり言えばいいのにィ」 ニヤニヤした俺達の顔が嫌だったのか、大きな手が目の前に迫り、顔をガッと掴まれる。 「ぃ、いでででっ!!」 「次ふざけたこと言ってみろ、お前らの鼻がなくなるからな」 「ピンポイントで鼻!?」 「あー!痛い痛い!離して凛ちゃん!」 手を離した凛ちゃんは馬鹿にするように鼻で笑った。 「早く帰りな。恋人待たすとかダメな奴らだな」 「あ!本当だ!じゃあね凛ちゃん!」 「うん。明日も来なよ」 「おう!じゃあな!」 太陽と一緒に教室を出る。 俺達を待つ、最愛の人達と会うために。 恋ってやつは END

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