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お触りが上手い宇佐美さん
「……最悪や」
「まあ、俺もまさかお前が了承するとは思わへんかったけどな」
宇佐美がスマホを鞄に仕舞いながらそう言った。
「えげつない言うたら、引き下がるかと思うたんやけど」
「いや、でも、宇佐美。俺、酔っ払っとったし、記憶ないし。この約束は無効ちゃう?」
「……無効にしたってもええけど。その変わり、この動画、ネタとして使わせてもらうで。忘年会とか。同期の結婚式とか」
「はあ? なんでや!」
「だって俺、ええって一旦断ったんやん。それをお前が押してきたやん。ええよ言うたくせにこの後、寝落ちしてもうて触らせてくれへんかったし。だから次回に持ち越しなんやと思って、小野が夜空く今日までしんどい仕事も耐えてやってきたんやで。それがご破算になるんやったら、せめてこの動画、どっかで使わへんと俺の気が収まらへん」
「……どういう理屈なん? それ」
「それくらい、飢えとる。おっぱいに」
「……そんなに触ってへんの?」
「かなりな」
あの俺の醜態をさらした動画。ネタとして公に使われるのは絶対嫌だった。しかも、自分から触らしたる言うてるし。同僚たちがこの動画を観たらどんだけ弄られるか分かったもんじゃない。
それに。
ちらっと傍に立って俺を見下ろす宇佐美に視線を投げる。
理由は分からへんけど、昔から相手には困らへん宇佐美がご無沙汰なんは結構なことやと思った。男のでもええと思うくらいに切羽詰まっとるなんて、その内、きーってなって、他で犯罪に近いこと起こされても大変やし。
そんなら。俺の乳ぐらい提供したってもええかもしれへん。
俺は本当の本当の本当に渋々やったけど、覚悟を決めた。
「分かった……ええよ」
「……何を?」
「触ってもええよ」
「……ええの?」
「おん」
「さっきまで全力で嫌がってたやん」
「ええねん。俺の乳で一つの犯罪を未然に防げるんやったら」
「なにそれ」
「まあ、つまり、触ってくれてええってこと」
「はあ……」
「その代わり。その動画、絶対に出すなよ。あと、田口のも消せ言うとけよ」
すると、宇佐美がまたニヤッと笑って頷いた。
「分かった」
なんか……。信用できひんわぁ。
そう思いつつも、俺の上に再び跨がってきた宇佐美を受け入れる体勢をとる。宇佐美が少し前屈みになった。
顔、近いな。
こんなに間近で宇佐美の顔を見たのは初めてやな。なんせ、俺のことはなにげに避けてる宇佐美さんやから。宇佐美との会話時間記録も今夜大幅に更新したんちゃうかな。
だから、不思議やった。近いだけやなくて。この、セックスする前みたいなシチュエーションに宇佐美と陥っていることに。
いや、セックスはせえへんけど。乳だけやけど。
「こっからどうしたらええの?」
「小野は別になんもせんでええよ」
「あ、そうなん?」
「じっとしとって」
宇佐美が俺の上半身に服の上から右手を這わせてきた。その手つきがくすぐったくて思わず笑う。
「宇佐美、くすぐったい」
「ほんま? そしたら、これは?」
宇佐美がさわさわしとった右手を胸のほうへ持っていく。親指で俺の左乳首をTシャツの上からぐりっと撫でた。
その瞬間、ぴりっとした刺激が俺の体を走った。ぴくん、と体が小さく波打つ。
何??
今のがなんなのかよう分からへんくて、確認するように宇佐美を見上げた。そこで、どきっとする。
宇佐美の顔が、見たことのないような顔になっとった。なんちゅーか……そう、「エロい」顔。
「小野……乳首弱いやろ」
「いや、分からへん。こんなふうに触られたのなん、初めてやし……あっ」
今度は宇佐美が両手の指先を使って俺の両乳首を強めにつねった。思わず声が出てもうた。勝手に出た声が女の喘ぎ声みたいで、自分でも驚いた。
「ちょっ、変な声出るっ」
「絶対弱いって。ちょっと触られただけで感じてるやん。痛くないんやろ?」
「痛くはない……」
「そしたら、もっと気持ちよくなれるんちゃう?」
「そりゃ、痛いよりはええかもしれんけどって、ちょっ、あっ、んっ」
俺の言葉を最後まで聞かへんと、宇佐美がその指先で俺の両乳首をクリクリしてきた。途端に、さっきのビリビリした感覚が戻ってくる。
なんやろう。俺、一応、童貞ちゃうしな。女の子とかにちょっと舌で舐められたりとかはあったけど。こんな、ビリビリはなかったで。これ、なんなん??
しかも、なんというか、服の上からという直接的ではない刺激に、ますます興奮度が増して、早速気持ちようなってもうてるし。
あんなに渋々感出しとったに、ちょお触られただけで感じてもうて、なんだか恥ずいわ。
「あっ……あっ……うんっ……」
宇佐美が指をクリクリしながら、俺の反応を楽しんどるのが分かった。悦の入った顔して、ぼそっと呟く。
「小野……ええおっぱい持ってるわ」
おっぱい星人宇佐美さんは、おっぱいが好きなだけある。彼に受けた乳首へのお触りは、俺が過去受けたお触りとは別格やった。上手過ぎた。
俺はその夜、乳首だけで、我を忘れるぐらい鳴かされたのだった。
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