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来なくなった宇佐美さん
気がつくと溜息をついとる。もう何日も。
この溜息の理由は一つやなかった。
まずは、宇佐美と気まずくなってもうたこと。表向きは普通に仕事しとるように見えんねんけど。明らかに宇佐美が俺を避けとった。
それから、時間がまたできたので、心機一転、女の子との出会いを求め紹介してもらって会っても。全然心が乗らへんくなってもうた。宇佐美の押しの強い我が儘にずっと付き合っとっせいか、物足りひんいうか、女の子たちとの会話になんの刺激も感じへんかった。
その時点で、すでに面倒なことになってもうたとな思うてたけど。それ以上に、困り果てたことがあってん。
それは。
「あかん……」
部屋に響く、女の子の喘ぎ声。テレビ画面には悩ましいポーズで声を上げる女の子の姿がある。俺の好みの清楚系の女の子をセレクトして、シチュエーションも俺の雄の部分を刺激する凌辱もんにしたんやけど。
どんだけ観ても、どんだけ観て弄っても。俺のアソコ、ウンともスンとも言わへんくなってん。
いや、少しは興奮すんねんで。で、よっしゃ、チャンスや思うて自分でやってみるんやけど。途中でなんか萎えんねん。なんかちゃうなって。そう思ったらもうそこでタイムアップ。試合終了やった。
宇佐美ん時は、あんなちょっと触られただけでえらいことなっとったのに。
そこで、宇佐美と最後に二人きりで会うた時のことを思い出すと。
……なんでやねん。
俺のアソコはこの上なく元気になった。
俺は宇佐美を恨んだ。どうしてくれんねん、俺のこの体。宇佐美と変なことしとったせいで。俺はもうこの先、他とはセックスできへんのちゃうやろか。
そう思うと、段々腹も立ってきた。
大体、全部宇佐美のせいやんか。確かに、俺が言い出しっぺなんは認めるで(証拠動画があったし)。やけど、酔っ払って言うた戯言やし。覚えてへんし。それを、宇佐美が半ば利用した形で、俺が脅されて奉仕しとったんやで。なのに、ちょっと、『嫌や』言うただけで。あっちが拗ねてそれっきりってどういうことやねん。
俺は……あんな、なあなあな形でセックスしたくなかっただけやねん。
そこまで考えてはっとなる。
なんやこの、セフレ(いや、乳フレか?)から始まったのに、関係が終わって初めて相手しかあかんって分かるみたいな感情は。こんなんまるで。
俺が宇佐美に惚れとるみたいやんか。
「……いやいや、それはない」
いや、でも。宇佐美しかあかんくなってんのって。そういうことなんかな。今まで、もちろん男なんて好きになったこともなかった。やから、ピンとこうへん。
もしもやで。もしもほんまに宇佐美に惚れてもうてんのやったら。セックスしたら分かるやろうか。宇佐美への気持ちが。はっきりと。
そこで俺にある考えが浮かんだ。これを実行するにはかなり勇気が要る。やけど、このままやとほんま、不能になってまうかもしれへん。言うても俺、まだぎりぎり二十代やし。そんなん辛過ぎる。
とりあえず、自分の気持ちをはっきりさせたいわ。それに。この前、中途半端にしてもうたから(しかもかなり気持ちよかったしな)メンタル的にも身体的にもモヤモヤしとんのかもしれんし。ちゃんと一回最後までしたら、また他でも復活できるかもしれへん。
ヤってみてほんまに宇佐美しかダメやって分かったら。そん時は潔く今後の性生活を諦めるしかない。だって。俺は、情のないセックスはしたないし。宇佐美が俺に対して情があるなんありえへんし。そしたらもう、諦めるしかないやんか。
いつかまた、復活できる日があるかもしれんし。それをよぼよぼになって性欲がなくなるまで待つしかないやんな。
そうと決めたら、行動あるのみや。
俺はスマホをひっつかむと、すぐさま同期の一人に連絡した。相手が出た途端、手短に用件を話した。
「宇佐美の直近のスケジュール知らへん?」
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