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立たない腰を無理やり立たせながら、足元がおぼつかない年寄りのように足を引きずりながらも、訪れた客との情事の片付けをようやく終えた愛賀は、ふと力が抜けたかのようにベッドに腰を下ろした。 一旦終えた行為の痛くも虚しさをこの身に受けつつも、不意に俊我のことを思い出した。 今が何時なのか、日付も分からぬ閉ざされた部屋。彼が最後にいつ来たのか分からなく、彼との温もりの余韻に浸ることなく、何人もの客にはしたなく足を開いては暴かれ、何度もへばりつく知りたくもない熱を抵抗も虚しく上書きされていく。 彼との他愛のない会話を反芻しては心にしまっておきたいのに、聞きたくもない相手の生暖かい息に心に響かない言葉に黒くべったりと塗り潰されてしまっていた。 彼と一緒にいるのは確かに楽しい。心が弾む。そのはずなのに、そうやって無理やり言い聞かせているようにしか思えなくなってしまってる部分もあり、そんな自分を責め、偽っているような気がするこんな自分に俊我に会う資格がないとさえ思ってしまう。 俊我といる時間が楽しいと思う気持ちが偽りではないと思いたいから、彼に会いたい。 倒れ込むようにベッドに身を預け、目を閉じた時だった。 扉が乱暴に開かれる音が聞こえた。 客だろうか。 ゆっくりと背後を肩越しに見やると、そこにいたのはこの店の主人だった。 その手には手と足に嵌めるものと思われる枷と口枷、そして目隠しらしきものが見えた。 「手を後ろにしろ。早く」 目が合うなりそう言ってきた主人に急かされるように、背中に腕を回すや否や「遅いッ」と一喝した主人によってうつ伏せにさせられ、乱暴に枷を嵌められた。 有無を言わせない圧に小刻みに身を震わせながらも、また休息はなかったと諦めていた。 先ほどの客のことを満足させられなかった躾という名のお仕置きなのだろうか、それとも次の客の要望によるものか。 どちらにせよ、こちらには拒否をする権利はない。

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