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第13話 エストレヤ イグニス
幸せすぎる夢を見て起きたくなかった。
もう少し幸せの中にいたい。
「んっんぁむっんっんはっんむっんっはぁはぁはぁはぁ」
夢の中で知ったエッチなキスで目が覚めた。
目を開けるとキラキラと光るプラチナブロンドが見え、それがグラキエス様のように見えた。
僕はまだ眠っているのかな?
「おはよう」
喋った。
グラキエス様の声にそっくり。
まだこれは夢なんだよね?
「……ぉっおはようございます?」
恋人みたいな朝の風景は夢に違いない。
「王子のキスでお姫様は目覚めました。」
やっぱり夢の中だ。
グラキエス様がそんなことを言うなんて。
「ぇっおひめ…ぁむっんっんっはっんんんぁんはぁはぁはぁはぁ」
苦しい…これって現実なの?
あのエッチな夢は僕の妄想じゃなかったの?
「…身体は平気か?」
身体?
夢じゃなく現実で僕はグラキエス様と?
「…ぅん」
「無理してねぇか?」
「んっ…」
「風呂行くか?」
あれが現実なら昨日の夜はそのまま…そういうことの後はお風呂に入るものだよね?
公爵家のグラキエス様より先になんて許されない、侯爵家の僕は後に入ります。
「ぁっはい、どうぞ。」
「どうぞって、一緒に行くんだよ。」
「いっ一緒?」
グラキエス様と一緒に入るの?
そんなこと許されるの?
「一人で行けんのかよ?」
「僕はだっ大丈夫です。」
グラキエス様の手を煩わせるわけにはいかない。
面倒なヤツって思われたくない。
「ふぅん、なら立ってみな。」
「え?はい」
なにかを試されているようだったが、グラキエス様に言われた通りにしないと。
身体を起こせばお尻に痛みが走ったが、なんでもない素振りをした。
あれら全てが夢じゃないと知るとちょっと嬉しくもあった。
布団がズレ僕の貧相な身体が現れ、幻滅されたくなくて素早く隠した。
グラキエス様に言われたように、すぐに立たないと待たせてはいけない。
床に足を付き重心を移すとずり落ちていった。
足腰に力が入らず人形のようで怖くなった。
「無理すんなよ。」
グラキエス様の言葉にすがるよう助けを求めた。
抱き抱えられお風呂場に行くも、裸なので自分のモノが丸出しなので隠していると「抱き抱えられたら腕は?」とグラキエス様の首に腕を回し、隠していた手を離すしかなかった。
二人で浴室に入り背中から暖かいお湯が当たる。
前から抱きしめられグラキエス様の温もりを堪能しているとお尻を揉まれた。
グラキエス様の突然の行為に困惑しながら耐えていると、指が入ってきた。
何が起きているのか頭が追い付かず、エッチな事をされているのか判断できず「ぁっぁっグ、グラキエスさまっ」と言うので精一杯だった。
僕の声が煩かったのかキスで黙らされ、グラキエス様の指は僕の中で蠢き続けた。
「大丈夫、俺に任せてろ…綺麗にしているだけだから。」
僕は必死に「グラキエス様に任せていれば大丈夫。」と自分に言い聞かせていた。
なんでも知っているグラキエス様に従っていれば間違いないと全てを信じていた。
「もう終わった、頑張ったな。」
グラキエス様に優しく「頑張ったな。」って言われるのが嬉しく、家族以外に僕を認めてくれたのがグラキエス様だなんて信じられない。
グラキエス様の腕の中で夢のような幸せを感じていた。
キスしたいと思えばしてくれる。
身体を泡だらけにした後に抱きしめ合い、グラキエス様の手がイヤらしいって思ったけど「これは洗っているだけだ。」と言われ、イヤらしく考えている僕の方がエッチなんだと知った。
氷の貴公子のグラキエス様がイヤらしいはずがないのに、そんな風に思ってしまう僕はなんて穢れているんだ。
泡が流された後も口付けされたけど、きっと何か意味があるんだ…エッチに受け取る僕の方がエッチなんだ。
「感じちゃだめ」と自分に言い聞かせ続け、喘ぎ声をグラキエス様に聞かれ無いように勤めた。
昨日の失敗だけでなくさらにエッチな子って思われちゃう…。
グラキエス様の愛撫が気持ち良くて足の力が抜けてしまいシャワーで流された後浴室を出て服を着るまでグラキエス様に支えられ渡された服を身に付けた。
グラキエス様の服は僕には大きくて、グラキエス様の香りに包まれた。
その格好のまま食堂に向かうことになった。
すれ違う生徒には驚かれた。
僕も未だに信じられない。
あの氷の貴公子が誰かをつれているのは珍しく、更には腰を抱いている。
目撃した生徒は二度見し、呆然と立ち尽くしていた。
皆の視線が怖かった。
僕とグラキエス様は一緒にいちゃいけないんだ。
食堂に着いても混乱は続いていた。
「エストレヤ、ここで待ってな。」
えっあのグラキエス様に僕のをっ?
そんなことをさせてはいけないと思った時には、既にグラキエス様は遠くにいた。
その事が居た堪れず大人しく僕のお得意の存在を消すことにした。
グラキエス様が戻るまでの間いくら僕が存在を消しても完全に消えることはなく周囲の声が耳に届いた。
「何であんなヤツとグラキエス様が?」
「グラキエス様が記憶喪失になったのを良いことに近付いたんだよ。」
「今まで全く相手にされなかったのにずる賢いヤツ。」
皆の声が刺さってくる。
僕はグラキエス様から離れなきゃっいけないんだ。
「待たせたな。」
「…ぅんん」
言わなきゃっ言わなきゃっ言わなきゃっ。
このまま僕が隣にいたらグラキエス様に迷惑が掛かってしまう。
「どうした?」
「ぁっ…あの…僕といると…グラキっんあむっんっんはぁっんん」
離れたくないが、僕の所為でグラキエス様に迷惑は掛けられない。
必死に言葉を探し伝えようとするも、頭を押さえられ口を塞がれてしまった。
ここは食堂で沢山の人が見てるのに、エッチなキスされてる。
「食わねぇと体力持たねぇだろ?」
「へぁっ?」
「お前を部屋に帰すわけねぇだろ?それとも俺がエストレヤを送るついでに泊まるか?俺の部屋かエストレヤの部屋かどっちが良い?」
帰すわけねぇだろ?ってまだ一緒に居てくれるつもりだったの?
…嬉しぃ。
グラキエス様が僕の部屋に来るの?
僕はまたグラキエス様の部屋にいけるの?
あっでもダメなんだ、僕とグラキエス様は一緒にはいられない。
「…ぁっ、グ、グラキエス様の部屋に…」
どうして選んじゃってるの?
別れの言葉を言わなきゃいけないのに。
「あぁ、なら確りと食わねぇとな。」
「んっぁむっんっふっはぁっん」
別れの言葉はキスに飲み込まれた。
「さぁ、食えよ。」
「ぅ…うん」
体力ってどういう意味なんだろう?
三食確り食べるって意味なんだよね?
やっぱりグラキエス様は記憶喪失になっても真面目な人なんだ。
食べ終え帰る時も腰に腕を回され支えられた。
何処までも優しい人。
そんな人に僕は…。
二人でグラキエス様の部屋へ向かい、ソファの真ん中にグラキエス様が座った。
僕は…どうしたら良いんだろう?座って良いの?
端っこかな?それとも正面のソファに行けば良いのかな?
「座らないのか?」
「…ぅっうん」
悩んで悩んで悩みぬいた結果、グラキエス様と変な距離を空けて座ろうとした。
「エストレヤ…何処に座ろうとしてんだよ?」
やっぱりここじゃなかった。
「へ?ぁっ…ぇっと…」
正解は正面だったのかな?
「エストレヤ」
手を取られ引き寄せられるままグラキエス様の前に立った。
グラキエス様の笑顔を見せられると逆らえなくなる。
腰を引き寄せられ気が付くと膝の上に跨がり座っていた。
「ぇっあのっ」
「今日からエストレヤはここに座ること。いいな?」
「ぇっでも…」
グラキエス様の膝の上だなんてそんなっ恐れ多い。
「エストレヤ」
「…ぁむっんっんっはぁっんつふぅんっんはぁはぁはぁ」
キス…。
「エストレヤ返事は?」
「…はっぃ」
キスでぼーっとし頭は何も考えられなくなり、いつの間にかグラキエス様の膝の上で安心しきっていた。
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