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第41話 命令 エストレヤ イグニス
僕が命令したキス。
…僕が望んだのは…もっとグラキエス様を感じるあの気持ち良くなっちゃうやつ…あれが欲しいの。
「………。」
視線で催促しても、笑顔しか返ってこなかった。
「……もっと…して…。」
恥ずかしくて目線を逸らしてお願い…命令した。
「はい。」
ちゅっちゅっちゅっちゅっちゅっ
触れるだけのキスが唇に何度も贈られた。
そうじゃなくて…。
僕がちゃんと言わないから…。
「もっと」は回数ではなく…その…仕方の事ってちゃんと言わないと…。
「いつもみたいに…して。」
「いつも?とは、どんな?」
「ん…いつもは…し…舌を絡めたり…吸ったりするやつ…。」
「畏まりました。」
唇が触れ舌が入ってきた。
僕が望んだキスだった。
いつもなら僕の頭を支えてくれるのに、今日はずっと腰に回されたままだった。
唇が離され呼吸を整えながらグラキエス様を確認すれば、微笑みを浮かべていた。
綺麗な顔、それが素直な感想だった。
僕はそんな人にエッチな要求をしようとしている。
グラキエス様に対してこんなにエッチになっちゃうのは、僕が元々エッチな人間だったからだ…。
それをグラキエス様に暴かれてしまった。
清廉潔白なグラキエス様の前では、僕なんて煩悩に支配されたエッチな人間に過ぎなかった。
…もっとエッチな事口にしても良いのかな?
「僕に…ふ…触れて。」
「畏まりました。」
グラキエス様は衣服の上から胸を揉みし抱く。
僕が…脱がせてって言ってないからだよね。
僕がちゃんと命令しないと…。
だから、僕がちゃんと言えば「飽きられる」事も「捨てられる」事もないのかな…。
「ずっとそばにいて」「僕だけを見て」と命令したらグラキエス様は…。
けど、それって寂しいよ…。
それはグラキエス様の意思じゃない…。
「そんなの…やだ…。」
「どうしました?」
「命令は嫌だよ…グラキエス様。」
「私はあなたに命令されたい……私に何を望んでいるのか教えてください。」
「………」
「エストレヤ様。」
「…もっと…。」
「もっと?」
「僕だけ見て。」
「見るだけですか?」
「僕だけに触れて。」
「…こうですか?」
服の上から僕の胸や脇腹を触れてくる。
…直接触って欲しい。
「服…脱がして、」
「畏まりました。」
ボタンを一つ外される度に心臓の鼓動が跳ね上がり、脱がされる瞬間キスが出来るほどの距離になるのに触れてくれない。
唇に触れたいのに僕が命令してないから…。
命令しないとこれからもキスしてくれないのかな?
僕の素肌が現れても唇では触れてくれない。
いつもなら沢山身体中にキスしてくれるのに。
「グラキエス様…。」
「エストレヤ様どうか私の事はアティランとお呼びください。」
「ぁっ…アティ…ラン様。」
「アティランです。ご主人様。」
「…アティラン。」
「はい、ご主人様。」
「…んっ…キス…して。」
「はい…。」
ちゅっ
「んっ…アティっんっんっんっん」
ちゅっちゅっちゅっ
違う…もっとエッチなやつをと命令する前に僕の願いは叶っていた。
唇が離れても何度も触れた。
だけど、唇以外にはしてくれない。
「んやぁん。」
「申し訳ありません、お嫌でしたか?」
「んっ…いっぱいして、いろんな所に。」
「畏まりました。」
僕が願えば唇以外のところにグラ…アティラン様の唇が触れた。
だけど、ちゅっちゅっちゅっちゅっと触れるだけでいつものように舌で擽るようにされたり吸われたりはしてくれなかった。
「…ぁっアティランさまっ。」
「………。」
何も反応してくれない。
「……アティ…ラン。」
「なんでしょう。」
名前呼んだだけなのにアティランさ…は極上の笑みを見せてくれた。
「触れるだけじゃなくて…。」
「…未熟な私にも分かるようにお教えください、どのように触れればよろしいのでしょうか?」
「…んっ…いつもみたいに…。」
「いつもとは?」
「舌で…舐めて…吸ったり…して…。」
「それがエストレヤ様のお好みですか?」
「………んっ。」
エッチなやつって思われて引かれたかな…。
怖くてグラキエス様の顔見れないよ。
「それでは失礼します。」
グラキエス様…アティランは僕の身体にキスをしながら舌で擽ってきた。
ビクッと身体が反応してしまうと唇が離れ僕を確認してくる。
「あっアティラン…あなたの好みで…して。」
「それは…。」
「命令。」
「…畏まりました。」
欲望のままに命令してしまった。
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