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第127話 噂を確かめたくて 生徒A
「ねぇエト聞いた?」
声を掛けてきたのは同室でもある友人のクオーレだった。
「何を?」
「最近の放課後の個別室。」
「えっ何?怖い話し?」
クオーレの様子からして良からぬ事を企んでいそうだった。
「違う違う。恋人たちの部屋らしいよ。」
「恋人達の部屋?」
怖い話じゃなくて良かった。
でも、恋人達の部屋ってどういう意味だろう?
「そっ恋人達の部屋。」
「…どういう事?」
「エッチしてるんだって。」
「…ぇええええええ」
エッチ?
個別室で?
…いいの?
「ちょっ声が大きい。」
「あっ、ごめん…それ本当?」
「らしいの。」
「クオーレは…見たの?」
「…まだ…だからさっ…エト一緒に見に行かない?」
「…大丈夫なの?」
「分かんない…けど…」
「けど?」
「…グラキアス様もいるみたいだよ。」
「行くっ。」
「………ぅん」
違うよ、グラキアス様の事を~なんて思ってない。
ただ、本当にグラキアス様が居るのか確かめたいだけっ。
僕はそんなっグラキアス様に対して…ねぇ。
僕とクオーレは婚約者のいない男爵家で、何だか似た境遇で部屋が同室と言うことで仲良くなった。
貴族の中でも平民に近く、だからと言って平民でもない。
不安定な立場だった。
他の貴族様達に見つからないように、僕達なりにこっそり学園生活を楽しんでいた。
今日もそんな僕達の冒険みたいな軽い気持ちて個別室に向かった。
放課後の個別室まで周囲を気にしながら向かうのも楽しい。
すぐに行っても…ねぇ、事が始まってない可能性もあるので教室で時間を潰しながら良い感じの頃に静かに向かった。
どの個別室にグラキアス様が居るのか分からず、震える手で静かに扉を開け中の二人を確認した。
一番はじめに人がいた部屋は、ネイビーブルーの髪色の人とグレーの髪色の人だった。
うん…なんかとっても仲の良さそうな二人で恋人同士なのかな?
この二人も気になるけど、今日の目的はグラキアス様に絞った。
静かに扉を閉め、隣に移り扉を静かに開けた。
後ろ姿でグラキアス様だとわかった。
グラキアス様の身体に隠れてはいるが炎のように赤い髪が見えたのできっとイグニス様とわかり、噂は確信に変わった。
二人は既に良い感じに見える。
ソファに凭れて座るイグニス様に、抱き合うようグラキアス様が座っているように見える。
二人は既に繋がっているらしく…イグニス様の美しい生足が反応を見せていた。
イグニス様は制服がはだけているのに対してグラキアス様は僕の位置から見る限り完璧なまま。
グラキアス様の律動する後ろ姿だけでもエロかった…だってあのグラキエス様だよ?
「あっあっあんっんっんぁっあ…アティっアティっ」
イグニス様の気持ち良さそうな喘ぎに全神経を集中させた。
「ん~なんだ?」
「あっんっんっはげっしんんん゛ん゛ん゛ん゛ん゛」
イグニス様が話しているのにグラキアス様はキスで口を塞いだ。
エッチなグラキアス様は意地悪に見えた。
「んっんっやっんんんぁんっんあんっん」
唇が離れてもイグニス様は喋ることが出来ず喘ぎ続けていた。
仰け反るイグニス様の首に、かぶり付くようグラキアス様の姿があった。
美しい少年の生き血を吸う吸血鬼のようで、二人の姿は美しくもありエロティックだった。
気付けば僕は二人の姿に魅入られ、下半身に熱が集中していた。
反応を見せる自身のモノを押さえているのか刺激しているのか分からないが強く握った。
そんな僕の手に突然誰かの手が重なった。
恐ろしさに、勢い良く振り返ると見知らぬ人物が立っていた。
「そんなに強く握りしめたら痛いっしょ。」
「ひっ」
耳元で囁く男に驚き悲鳴をあげそうになるも耐えることが出来た。
「えっ?」
僕の声に友人も声を出してしまっていたが、すぐ後ろの人間に口許を押さえられていた。
僕たち二人は後ろから抱き締められるように拘束されていた。
「何見てんの?」
「…ぁっ…」
「へぇ二人で覗いてたんだ?んで、盗み見してこんなに反応させてたの?」
「………」
どうしよう…。
こんなところ見られて言い訳できない。
「そういうの興味あるならさぁ、俺達も空いてる部屋には入ろうぜっ。」
「ぁっ…」
断りたいのに自身の立場の弱さに拒否することが出来なかった。
男に肩を抱かれながら、誰もいない部屋を探していく。
空いていた個別室に僕達四人で入ることになってしまった。
ソファに座るのも後ろから抱き締められる体勢で座ることに…。
甘い雰囲気ではなく、これって拘束されてるのかな?
どうしよう…逃げられない。
同じように思ったのか友人も不安な表情で僕を見た。
「で?二人は覗いて楽しんでたの?」
「………」
どうしよう…脅迫されてる…。
僕の愚かな行為の所為で公爵家と侯爵家を敵に回すことに…。
「教えてよぉ、俺らは今日始めて来たんだよ。噂で聞いて。」
抱き締める腕に力が込められ彼の温もりが背中越しに伝わる。
「…僕達も…です。」
「おっやっぱり?結構噂になってるらしいな」
「…そう…みたいてすね…」
「あの堅物グラキアス様のそういうの見れるなんて興味あるよな?」
「………」
そうなんだけど、知らない人にそんなこと言えなかった。
「…ねぇ、さっきから緊張してる?」
「…はぃ」
緊張もだけど…恐怖のが勝ってます。
「俺らの事怖い?」
「………」
はぃって言って良いの?
「黙っちゃったってことは怖いんだ?」
「………」
はぃ。
「凄い心臓、バクバクしてるね。」
突然胸を触られた。
エロい雰囲気じゃないけど、グラキアス様達をを見た後だったからエッチな手つきに捉えてしまう。
「やっ」
怖い…たっ助けて…。
「少しだけ…ダメ?」
「た…だめ」
声が震えてしまう。
「残念。」
断るとちゃんと胸を解放してくれた。
それでも抱き締められてはいた。
「おいっお前ら、なにエロい雰囲気出してんだよ。」
鏡のように僕達と同じ体勢で座りながら、友人を抱き締めている人に指摘された。
友人を見ると彼も涙目で頬を染めて、視線を逸らされた。
その表情は恐怖からだよね?
「あっ悪ぃ、好みの奴だったからついっ」
なにっ?好みの奴?僕が?
…乗りで言ったの?
もう…怖い。
恐る恐る振り返り僕を拘束している人の顔を見れば…笑った。
「なぁ、二人は婚約者とか恋人いるの?」
「ぃ…いま…せん。」
正直に答えた…嘘を吐いたらどうなるか…これ以上弱みを握られるわけにはいかない。
「ふぅん…そっちは?」
「僕も…居ません…」
「なんだよ二人とも歯切れ悪ぃな…まさかっ、二人が恋人同士とか?」
「「ちっ、違います。」」
被ってしまった。
でも僕達はそんな関係じゃない。
仲の良い友人だ。
「「………」」
なんかまだ疑われているような…。
「ふぅん…なぁ、名前は?」
「ぇっ…」
「教えてくんねぇの?俺はアトレ アブラッチョ」
「俺はアルドル アンミッコ」
「…ぼく…は…エトワール エーデルシュタイン」
「…僕は…クオーレ アマビリス」
嘘を吐いた所でここは学園すぐにバレてしまう。
「二人はやっぱグラキアス様が気になって?」
「………」
「教えてよ。」
「さ…最近の…個別室がっていう噂を聞いてっ…」
「なら、たまたまグラキアス様の部屋を見たの?」
「………」
「ちゅっ」
「きゃっ」
突然首にキスされた。
「答えないとキスするよ。」
もう、したっ。
今した…首に唇が触れた感触が…。
「…んっ…はぃ」
「で?グラキアス様の部屋を覗いたのは偶然?」
「…グラキアス様の…噂も…聞いて…」
「ふぅん、ならエトワールの好みの奴はグラキアス様ってことか?」
「………」
好み…。
グラキアス様は完璧で憧れない人はいないはず。
それは好みって事なのかな?
「ちゅっ」
「ぁんっ…グ…グラキアス様は憧れているだけです。」
「憧れねぇ。」
「クオーレは?」
向かいに座るアンミッコ様がクオーレに話し掛けた。
僕から視線がそれて良かったが、返事が遅れると首とはいえキスされてしまう。
「ぼっ僕も憧れです。」
僕のを見ていてか、クオーレの返事は早かった。
何だかズルい。
クオーレも後ろの人にキスされたらいいんだ。
「イグニス様の足、綺麗だったよなぁ。」
「へっ?…はい」
ちらっとしか見ていなかったが、イグニス様の足は確かに綺麗だったように思える。
それよりも何となくだけどアブラッチョ様が質問すると僕が答え、アンミッコ様が質問するとクオーレが答えるようになっていた。
「俺とアルドルは筋肉がつきやすいから、細い奴はエロく見えるんだよな。」
「…そう…なんですね…」
「そっ、エトワールも細いよな。」
「…そんなこと……ぁっ」
「うわっ細っ」
僕の足を確認するように太ももを掴まれた。
「ちゃんと食べてんのか?」
「…食べてます。」
「心配になるわ。」
「…ぉ二人が…大きいんじゃないてしょうか?」
「ん?そうか?」
「デカイ方だが、そこまでじゃねぇだろ?」
アブラッチョ様とアンミッコ様は互いに確認しているようだった。
お二人より大きい人はいるが、僕達からすると二人も充分大きいです。
「二人は小さいよな。」
「やっ」
小さいのを認めさせるように抱き締める腕に力が込められ、さらに身体を縮めてしまった。
「アトレいくら好みだからって少しは落ち着け。」
好み?
また言われた…今度はアンミッコ様に…。
僕って本当にアブラッチョ様の好みなの?
「ん~そんな事言ってっけど、クオーレも気を付けろよ。」
「…え?」
クオーレは突然話を振られ驚いていた。
「お前、アルドルの好みだから」
「へっ?」
クオーレは確認するようにゆっくり振り向きアンミッコ様と見つめあっていた。
「キスして良いか?」
「へっ?」
アンミッコ様が確認するもクオーレは答えられず、顎を掴まれされるがまま唇が近づきキスしていた。
「ぁっ」
僕のが驚き声をあげていた。
二人の濃厚なキスに視線を逸らすことが出来ずひたすら目撃し続けた。
「エトワール俺もしたい。」
「えっ」
後ろから囁かれ、深く考えず振り向いてしまった。
…僕もいつの間にか唇が塞がっていた。
「だめ」と言いたいのに抱き締められ拘束されて、頭を離すことが出来なかった。
僕の…始めてのキスが…。
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