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第8話

「か、一磨っっ……もおっ、む、りっ……」  ぐったりと俺に正面からしな垂れかかる湊を、俺は湊の両脇に手を入れ引き剥がすと、容赦なく下から突き上げる。湊は俺の下からの激しい律動に、俺の両肩を必死に掴みながら、白い首筋を露わにするように仰け反り喘いだ。 「うあっ……はあっ、ああっ、だ、だめっ」  湊は汗で顔をぐちゃぐちゃに濡らしながら、俺からの突き上げに喘ぎ声を上げる。その艶やかな声を聞くたび、俺の中心は、興奮で更に硬質を極め、湊の良い部分をピンポイントに抉ることができる。  俺は湊の喘ぎ声がもっと聞きたくて、小刻みに腰を突き上げながら、湊のピンク色の可愛い乳首を舌で執拗に転がしてみる。そのせいで湊は苦しそうに眉間に皺を寄せながら、『むり、むり……』と、俺に泣きそうな目で何度も訴える。  むりと言われても、俺がむりだからね……。  俺は心の中で意地悪くそう呟く。  このラブホでセックスを始めてから何時間立つだろう。この間の俺のマンションの時も、気づいたら空が白み始めていたっけ。  俺は湊の前だと、こんなにもみっともない絶倫男になってしまう。抱いても、抱いても全然足りなくて、俺の心と体は、まるで湊の生気を搾り取ろうとしているみたいに、湊を強烈に求めてしまう。  どうしよう……このぐらいにしないと、俺、本当に湊を壊しちゃうよ……。  俺は、自分を戒めるようにそう決心すると、湊から一旦自身の中心を抜き取った。湊はその刺激に体を僅かに痙攣させると、少しだけ安堵したような表情を見せる。俺はそっと湊をベッドに横たわらせると、すかさず耳元に囁いた。 「もう少しだけ……頑張って」  湊は俺の言葉に目を見開くと、首をぶんぶんと横に振った。 「だ、だ、ダメっ……いやあっ……あっ、ああっ!」  俺は正常位の態勢でまた湊の中に侵入すると、湊はきつく俺を睨んだ。まるで『裏切られた!』という気持ちを俺にぶつけるかのように。でもすぐ俺から与えられる愉悦によって、その鋭い目は蕩けるように潤み出し、切なげな表情で俺を煽る。  ああ、ダメだよ! そんな顔されたら、また俺……。  湊の乱れた官能的な表情に、俺の欲望は簡単に再燃してしまった。我慢をしようとしたのに、湊の魅力に俺はあっけなく理性を失くし、簡単に忘我してしまう。  こんな情けない自分に湊を愛する資格などあるだろうか。ろくに自分の欲望を抑えられず、愛する男を壊してしまうほど抱き潰そうとしてしまうなんて……。 「はあっ、か、一磨っ……ダメっ、それっ、や、やめてっ」  湊は俺のねちっこい腰の動きに、太ももをビクビクと痙攣させながら喘いだ。体を繋げるのはまだ二度目だけど、湊は俺によってかなり淫乱な体になりつつあることに、俺は興奮で頭に血が上ってしまう。 「湊……感じて、俺のこれで、めちゃくちゃに気持ちよくなって……」  俺は湊の耳元で熱を込めてそう囁くと、すかさず、湊の可憐な唇を凌辱するように激しく奪った。  湊とのキスが好きだ。俺のこの湊への思いを、一番強く伝えられる方法な気がするからだ。俺の湊への思いが口移しされて、湊の心の奥深くまで届くように、ずっとずっと俺だけを好きでいてくれるように、俺はいつも心込めて湊にキスをする。  湊は観念したように俺の首に腕を回すと、自らも激しく舌を絡ませながら俺のキスに応えようとする。俺はそれが凄く嬉しくて、湊の中でまた自身の昂ぶりを最高潮に極めてしまう。 「湊、湊っ……愛してる……」  俺はそう言って湊から口を離すと、両方の指で湊の乳首をいやらしく弾きながら、湊の熱く濡れた中を、今にもはち切れそうなほど昂ぶった自身の中心で攻め続ける。  湊は口をきゅっと苦しそうに結びながら、俺からの責め苦に耐えている。何度も無理だと懇願されたのに、俺はまだ湊への欲望を際限なくぶつけようとしている。  本当に俺って、湊を前にすると獣以下だな……マジで最低だ……。  解っているのに歯止めが効かないのは、俺にとって湊が本当に魅力的だからだ。  俺と繋がる白く艶やかなその肢体も、快感に潤む瞳も、小顔に纏わりつくしっとりとした髪も、半開きの桜色の唇も、そのすべての湊が俺を狂わせ、俺を獣以下な人間へと突き落とすから。 「か、一磨っ、大好き、大好きだよ! だ、だから、もお……はっ、はあっ、これで、お願い……もお、ほんとにっ……」  湊は俺に激しく腰を打ち付けられながら、俺にまたやめてと懇願する。 「はあ、分かったよ……俺ももう限界だし……一緒にね、湊……」  俺は罪悪感で胸がはち切れそうなくらい苦しいのに、やめてと俺に苦しそうに縋る湊を見てしまうと、加逆心が煽られてしまい、性懲りもなくまた決心が揺らぎそうになる。 「ああっ、そ、そこっ、気持ちいいっ、あっ、あっ、でもっ……それ以上は、ああっ、ダメっ」  湊は自身に強いオーガズムが生まれる気配を感じ取ると、俺を必死に見つめながらそう訴えた。そんな湊の様子に、俺は心臓が爆発するくらい興奮してしまい、自分でも抑えきれないほどの強い射精感が近づいて来てしまう。俺はそれでも最後まで足掻きたくて、もっと高みへと湊を昇らせようと、湊の腰を掴んで持ち上げると、湊の最奥に届くように、自身の昂ぶりを激しくぶつけながら、何度も揺さぶった。 「湊! 感じて!」 「あっ、ああっ……はああっ!」  湊は甲高い嬌声を上げると、体をビクビクと痙攣させながら、自身の腹に精をトクトクと放出している。俺は慌てて湊の中から自分の中心を抜き取ると、湊の中には出さず、外に勢い良く精を放った。その瞬間があまりにも気持ち良すぎて、俺は腹筋を力ませながら、その愉悦にしばらく浸ってしまう。 「はあっ、ううっ……湊……ごめんよ。本当に……俺ってマジ本当に、最低過ぎる……」   俺は、ぐったりとまるで気絶したみたいに横たわる湊を見つめながら、ひどい罪悪感に喉が詰まってしまい、上手く話すことができなくなる。 「はあ、はあ、何で? 何で謝るの?……ああ、僕が無理って言ったからか……ごめんね。でもね、今日も凄く、凄く良かった……僕は一磨に抱かれると、天国にいるみたいな気分になるんだよ……」  湊は重たそうに両腕を持ち上げると、俺の頬を優しく包み込む。 「一磨は僕の物だから、絶対に、誰にも渡さない……」  湊は俺を引き寄せるとそう耳元に囁いた。俺はその言葉に衝撃を受けてしまい、物凄い速さで涙腺が崩壊しそうになる。 「湊……」  俺は一瞬で胸が詰まってしまい、その先の言葉が何も出て来なかった。ただ、恥ずかしくも、湊の頬に涙を一粒落としてしまい、俺は慌てて自分の目を乱暴に擦った。 「知ってた? 一磨……僕は一磨が僕を思う以上に、一磨のことが好きなんだよ……だからもう、こんなことはしないで。誰かを傷つけるようなことも……」  湊は俺の頬を優しく包んだまま、俺の目を真っ直ぐ見つめそう言った。その声根は凛とした空気を纏っていて、俺の胸に深く響き渡る。 「ごめん……本当にごめん」  俺は湊の言葉が死ぬほど嬉しいのに、自分が情けなくて、ただ不器用に謝ることしかできない。 「僕も、ごめん……いつも自分の気持ちばかり押し付けて……」  俺たちは無言で見つめ合うと、引き寄せられるようにベッドの上で強く抱き合った。  このまま一つになれたらいいのに……。  俺はそんな叶わない願いに、また泣きそうになった……。                                        了

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