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第16話

「受験のために、バンド活動を休ませてください。」 キヨから大事な話があるとファミレスに呼ばれたときから、覚悟していた。キヨの真っ青な顔を見ると、相当緊張しているが伺える。この話は、ハルは怒るだろ。案の定、その話を聞いたハルは火がついたみたいに怒声をあげた。 「お前にとって、バンド活動は受験ごときでやめられるものなのかよ!ここまでやってきた俺たちを裏切るのか!!そんな奴、バンドやめ」 寸前のとこで、ハルの口を塞ぐ。そんなこと言っちゃダメだ。キヨがいなくなってしまう。お前にとってキヨは大切なんだろ。俺をハルは睨みつける。 「ハル、落ち着けよ。何もキヨはバンドをやめるなんて言ってない。少し休むだけだろ。」 この発言もハルの気に触ったらしい。ハルは俺の手を振り解き、俺の脇腹を蹴りあげる。 「黙れ!この甘ちゃん野郎!!お前の出す音、最近キモいんだよ!もういいわ、お前ら!」 こう吐き捨てハルは店から出て行った。よかった。ハルがキヨにやめろって言わなくて。これでキヨは俺たちのバンドに残ってくれるかもしれない。目の前には、ひどく怯えたキヨがいた。年上のガチでキレた姿なんて見たからだろう。キヨは震えながら口を開いた。 「ごめんなさい。俺、バンド辞めます。」 そんなこと言わないでくれ。ハルにはお前が必要なのだ。俺はなんとかキヨを止めようと考え、口を開く。 「やめるなて言うな。俺はキヨと演奏したいよ。ハルも本当はあんなこと思ってない。だから、俺達と一緒にバンド続けてくれよ。お前の音じゃなきゃダメなんだ。」 キヨは俺の話を聞いて、我慢していた涙が溢れて出していた。そして嗚咽混じり無理に口を開こうとするのを俺は止めた。ただ中学生があんなに泣き叫ぶみたいな危うい音を必死で鳴らすのには、ひどく理由があるのだろう。そんな傷を無理矢理見せてほしくない。 「無理に話さなくても、いい。ただ、お前が俺達とバンドを続けたいか教えてくれ。」 キヨは、俺の言ったことに安心したのか、縋るような目をしていた。 「俺、2人とバンド続けたいです。」 「よかった。ハルは俺がなんとかするから。安心しろ。」 キヨの頭を優しく撫でて、なだめる。キヨは泣き止んで、お礼を言ってきた。 「真也さん、ありがとうございます。落ち着きました。」 外は暗くなっていたので、キヨを家まで送る。ハルに蹴られた脇腹が痛むが、俺はハルを探しにある場所に向かった。

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