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第21話

「ミツル、入りなよ。」 ドアを開けてヒロが俺に先に入るよう促す。 家の中は照明も付いてなくて薄暗い。 夏のじっとりした空気が肌にまとわりつく。 「おじゃまします。」 家からは何の返事も返ってこない。 誰もいないみたいだ。 そのことが余計に俺の緊張を高める。 「どーぞ。」 後から入って来たヒロが俺の挨拶に返事をしながら、後ろ手でドアを閉める。 外からの光が完全に遮断される。 もう逃げ場はない。 「俺の部屋、上だから。」 ヒロが雑に靴を脱ぎ捨てて、俺の手を引く。 繋いだ手が少し湿ってる。 どこを見ていいかわからなくて、俺は足下をみる。 階段を一段上がる度に俺達が変わってしまうまでのカウントダウンが進んでるみたいだ。 俺はノロノロとヒロの後ろを歩く。 階段を登り終えて13歩くらい歩いたとこでヒロの足が止まる。 「すぐクーラー付けるからさ。最初、暑いかもだけど我慢してね。」 なんていつもと変わらない調子でヒロは部屋に入ってく。 「ん、わかった。」 俺は緊張してるのがバレたくなくて短い返事をしながら敷居を跨いだ。 部屋の中は締め切られていたから外よりも暑かった。 背中にじっとりと汗が滲んだ。 ヒロのつけたクーラーの機械がなって徐々に空気が冷えていく。 俺がどうしていいかわからずに立っていた。 「なんで立ってんの?そこ、座んなよ。」 そう言いながらヒロはベットの手前を指差す。 「上のが涼しい風くるんだよ。」 なんて言い訳しながら、そこに座る。 背中のベットの感触がいやに伝わってくる。 「あ、本当だ!」 ヒロは立ち上がってエアコンの前に立つ。 冷たい風が全部ヒロにもってかれる。 抗議してやろうと俺が上を向いた瞬間、ヒロの顔がふってきた。 触れるだけの短いキスを鳥が餌を啄むみたいに繰り返される。 俺はそれに答えて自分からも唇を押し付ける。 ヒロは俺の唇を舐めて、俺の口を開けさせる。 間髪入れずに舌が入り込んできた。 歯茎、舌先、舌の裏と口の中、全体をヒロの舌がなでる。 ざらりとした感触が舌に伝わる。 ヒロの動きは徐々に激しさを増していく。 「ん、あ」 俺は息が上手くできなくて、後ろに倒れ込む。 シーツに俺の体が沈み込んでいく。

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