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第4話

ピーンポーン。 キヨさんの家のチャイムを鳴らす。 返事がない。 どうしたんだろうか。 今日はキヨさんに、先輩からもらった去年の講義のノートを写させる約束をしていた。 お互い、毎週月曜日が午後の一コマしかなかったため、都合が良いとこの日にしたのだ。 ガチャリとドアが空いた。 「はーい。どちらさまですか。」 出てきたのfat catのボーカルのハルだった。いつもステージの姿と違い、セットされていない髪や、気怠そうな雰囲気、なによりキヨさんのTシャツ を着て、出迎えてきた。 俺はびっくりして黙っていると、 「お前か、キヨの周りをウロチョロしてる奴は?」 ハルは敵意剥き出しで俺を睨む。 「キヨさんとはいつも仲良くさせてもらってます。今日はキヨさんにノートを写させる約束をしてて、来ました。」 ハルは俺の手元をみて 「キヨは疲れて寝てるから、すぐには出れない。そのノートは俺が渡しておくから帰っていいよ。」 と言ってきた。 俺にはハルが出てきただけでも衝撃的だったのに、そのハルに敵意剥き出しでこられて、引き下がるしかなかった。 「じゃあ、お願いします。」 帰り道、さっきのことをグルグル繰り返す。 ハルの匂いはキヨさんから香るシャンプーの匂いだった。 それに、ハルのあの敵意。 2人は付き合っているのだろうか。 いや、なんでこんなこと考えるんだ。 俺には関係ないだろう。 もう考えたくなくて俺はイヤフォンをつけて音楽を流す。 流れたのはfat catの曲だった。 いつもはfat catの曲を聴くと心が弾むのに、今は心が沈んでいくだけだった。

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