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第15話
「俺についてこれない奴なんていらない。」
ハルはそう言ってなかなかベースは見つからなかった。
俺達の新メンバー探しは難航している。
思うように演奏できなくて鬱々としいるハルを気晴らしにカラオケに連れていった。
その日、俺はもう1人の天才に出会う。
「部屋、ここだと思う。」
ハルを先頭に俺達はカラオケルームをめざす。
これがよくなかった。
会計とかはハルがしてたから部屋番号を俺は知らない。
適当なハルは反対方向に向かって間違いも気づかず、勢いよく扉をあけた。
瞬間、ベースの低音がなる。
その音は「俺をみろ」とこっちに言い続ける。
ただハルの自由で楽しそうな音とは違ってどこか焦りや怒りを感じる苦しそうな音だ。
そんな音に人は目を離せなくなる。
ハルをみると瞳に光が宿っていた。
見たこともない表情でベースを弾く奴を見つめていた。
俺がずっとハルにさせたかった表情だ。
ハルと俺、2人だけだった世界が音をたてて崩れてく。
「俺らのバンド、はいらない?」
ハルの一声にベースを爆音で鳴らしていた少年が顔を上げる。
音の圧で気づかなかったが、少年は中学生ぐらいに見えた。
目を見開いて固まっている。
「部屋間違えた。ごめんな、楽しみ中に。」
謝罪しつつ、ハルの言葉を説明する。
「俺達ベース探してるんだ。こいつがお前の音を気に入ったみたいだからさ、もし今誰ともやってないなら入ってけれないか。」
さっきまでポカンとしてた中学生は俺の言葉を理解したらしい。
数秒考えて返事をした。
「いいですよ。これからよろしくお願いします。」
ハルはにやりと笑った。
キヨは俺達のバンドを救った救世主でもあり、俺の世界を壊した破壊者でもあった。
キヨは変な奴だった。
いつも気弱そうであんまり喋らないのに、ベースをもった途端に雄弁になる。
そんなキヨのだす凶暴な音にハルは楽しそうにくらいつく。
そんな2人をみてて、俺は天才の間に入ることができないことを静かに悟った。
器用貧乏な俺はいくら練習しても2人みたいに熱をもった音は出せない。
だから、俺は2人を繋ぐための音をならした。
俺のちっぽけなプライドなんて、ハルの楽しそうな顔を見れるなら捨ててやる。
いつしかハルに負けたくなくてやっていた音楽がハルのための音楽になっていた。
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