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第19話:お守りに刻まれた淫らな呪い ※
「は……っ、は……っ、は……」
「……ぁ……は……っ」
静寂が戻った仮眠室には、二人の荒い息遣いと、濃厚な情事の匂いだけが立ち込めていた。
私はドノバンの体内に己を繋げたまま、汗ばんだ彼の背中に覆いかぶさり、その心音を全身で受け止めていた。背中越しに伝わる鼓動は、まだ激しく、この男が生きていることを私に訴えかけてくる。
ふと、彼の首筋に目が止まる。
そこには先ほど私が刻んだ、赤黒い噛み跡 が鮮やかに浮かんでいた。浅黒い肌に、私の執着が焼印 のように刻まれている。
「……ドノバンさん。最高でした」
耳元で囁くと、ドノバンは答える気力さえないのか、ぐったりと枕に顔を埋めたままだった。
私は名残惜しさを抑え、繋がっていた自身をゆっくりと引き抜いた。ズプ、リ……と粘つく音が響き、栓が抜かれた瞬間、彼の中に注ぎ込んだ濃厚な証が重力に従ってトロリと溢れ出した。
太腿の内側を伝い、シーツに垂れ落ちる熱い滴。
「……ッ、は……」
ドノバンが、内側を空っぽにされる喪失感に小さく身を震わせた。
私はベッドの端に腰を下ろし、手近な布を手に取ると、一度仮眠室を出て、事務室の流し台でたっぷりと水をあてがった。
固く絞った冷たい布を持って、彼の待つベッドへと戻る。
「……拭きますよ。動かないで」
濡らした布を、彼の背中に当てた。
「……っ!? つ、めてぇ……っ」
冷たい布が触れた瞬間、ドノバンがビクン! と大きく体を跳ねさせた。反射的に逃げようとするが、腰が抜けているのか、シーツの上でもがくだけだ。
「じっとしていてください。汗を流さないと」
私は、逃げる彼を片手で押さえつけ、布を滑らせた。背骨の溝、肩甲骨のくぼみ。布が肌を擦るたびに、ドノバンが「ん……」「ぁ……」と小さく声を漏らす。
扉の向こうの足音に追い詰められたあの極限の恐怖が、彼の神経を過敏にしてしまったのだろう。ただ布で拭われるだけの刺激が、今の彼には強い愛撫として刺さるらしい。
その反応を見て、私の悪戯心が再び鎌首をもたげた。
私の手は、背中から脇腹、そして胸元を持ち上げ、回り込んだ。
「あ……ッ、そこは、……っ」
息を整えようと上下する、分厚い胸板。
そこにある敏感な突起を、布越しにわざとらしく強めに擦 り上げる。
「んん―――ッ!!!」
ドノバンは、枕に顔を押し付けたまま、甲高い悲鳴を上げた。ビクビクと背中が波打ち、足の指がシーツを掴むように丸まる。
「汗が溜まってますね。……よく拭かないと」
前側へと滑り込ませた指先に伝わるのは、元冒険者らしい分厚い胸板の膨らみと、鋼のように硬く引き締まった腹筋の凹凸。濡れた布の端で、その深い溝を一つ一つ辿るように、ゆっくりと、執拗に拭っていく。
「ん、あ……っ……」
布が肌を這うたび、ドノバンがくすぐったそうに、それでいて熱を帯びた吐息を漏らす。
私はわざと動きを止め、布越しに彼の胸の頂を、指先でコリコリと強く弾いた。
「ひっ、あ゛ッ……!」
今度は声にならない喘ぎを漏らし、腰が勝手に跳ね上がった。
「やめ、ろ……っ! そこは、もう……っ!」
「どうしました? 拭いてるだけなのにこんなに硬くして」
私は薄笑いを浮かべると、今度は布の下から直接、熱を持った自身の指先を滑り込ませた。
「ひ……っ!? な、にを……!」
濡れた布の冷たさと、私の指の熱。その異質な温度差に、ドノバンの体が弓なりに跳ねる。
指の腹で直接、硬く尖った乳首をこねるように弄ると、彼は涙声で「……お前、これ拭う気ないだろ」と、弱々しく非難の声を上げた。
「あッ……! いじ、るな……って!」
「掃除ですよ。……隅々まで、念入りに、ね」
私はその非難を軽く鼻で笑ってかわすと、愛撫の手をさらに下へと――彼の隆起した腹筋の溝をなぞりながら、下腹部へと移動させそのまま腰を高く持ち上げる。
指先が、鼠径部 の奥に鎮座する熱に触れる。
「……おや。ドノバンさん、ここはまだ触ってもいないのに」
濡れた布をその中心に被せ、手のひら全体で包み込む。
先ほど果てたばかりだというのに、そこは既に意志を持って脈打ち、半ばほどまで熱く反り返っていた。
そしてその根元には、昨夜私が結びつけた『根付け』が、未だしっかりと食い込んでいる。
「っ、頼む……! まず、その紐を外してくれ……!」
ドノバンが、布の上から自分の股間を握られている恥ずかしさに耐えかねたように懇願した。
「締め付けられて……異物感が、変になりそうだ……」
「ああ、そうでしたね。ずっと縛ったままでした」
私は素直に頷くと、布をずらし、革紐の結び目に指をかけた。
ドノバンが安堵のため息をつこうとした――その瞬間だ。
「……おっと」
私は指先を滑らせ、結び目を解くどころか、根本の皮ごと革紐をグニ、と揉みしだいた。
「ひぁッ!? な、にを……ッ!」
「すみません。……見てください、ポーションと精液でべっとりと濡れていて、指が滑るんです」
私はもっともらしい言い訳を口にしながら、わざとらしく指をもたつかせた。
ヌルヌルと滑る結び目を爪先で弾き、吸った水分で重くなった房飾りを、敏感な裏筋にペチペチと執拗にぶつける。
「あッ、ん……! わざと、やって……ッ!」
「違いますよ。随分と酷く汚してしまったせいで、結び目が固く締まってしまっているんです」
私は「困りましたね」と囁きながら、解くふりをして革紐をギリギリと左右に引っ張った。
当然、根元への締め付けは強まり、逃げ場を失った彼の先端はさらに硬く張り詰めていく。
「ひ……っ、や、めろ……っ! きつい……ッ!」
「なかなか取れないですね。……これだけ汚れているんです。先に綺麗にしないと、滑って解けそうにありません」
私は早々に解くことを放棄すると、再び濡れた布をその中心に被せ、根付けごと強く握りしめた。
「……ほら、こんなに汚れていますよ」
私は布越しにその質量を握りしめると、根元から先端へと、ゆっくりと布を滑らせてしごき始めた。
濡れた布が皮膚をこする独特の感触と、革紐が擦れる刺激に、ドノバンが「ぁ、……っ!」と喉を鳴らして腰を跳ねさせる。
「はンッ……! ふざけやがって……ッ! 自分でやる!」
ドノバンは羞恥と苛立ちで、シーツの上で強引に体を反転させた。ゴロン、と重い音がして仰向けになり、正面から私を睨みつけながら自ら結び目を解こうと指を伸ばした。
だが、その手が目的地に届くより早く、私は彼の手首をガシッと掴み取り、体の横へと強く押し付けた。
「離せ! さっさと外して……」
「ダメです。ちゃんと隅々まで拭かないとベタベタで気持ち悪いでしょう?」
「お前のせいで取れねえんだろうが!」
私は、片腕でドノバンの上半身を押さえつける体勢に変え、悪戯っぽく微笑んでみせた。
「それに、あんたがこんなに反応してくれると……つい熱が入ってしまって」
「楽しんでやがるだろ!」
「まさか。あんまりにもここが汚れているから、綺麗になるまで時間がかかっているだけですよ」
先端から溢れる蜜を布でわざとらしく拭いながら、執拗にそこを扱き上げる。
ドノバンは顔を真っ赤にし、「こ、この……!」とうめくが、私の手の中にある熱は、無慈悲なほどに硬さを増していく。
「……もう限界ですか? でも、我慢してください。……まだ、一番汚れている場所が残ってる」
私は彼から手を離すと、今度は臀部へと移動した。
脚の付け根を割り開き、自らの指を再び、その赤く腫れた入り口へと差し向ける。
「な……ッ、何をする……っ」
「あれだけ何度も、あんたの中に注ぎ込んでしまいましたからね。……たっぷり溜まっている中身を、掻き出さないといけません」
拒絶を許さぬ声音で告げ、私はわざとらしく顔を寄せ、その赤く腫れた入り口を至近距離から覗き込んだ。
「……はぁ。見てください、ドノバンさん」
「っ、な、なにを……」
「あんたの後ろの口から、私の出したモノが……だらしなく垂れてきている。ドノバンさんの中から私のモノが出てくるなんて、改めて見ると、酷くいやらしい光景ですね」
羞恥のあまり、ドノバンが「み、見るな……ッ!」と悲鳴を上げ、反射的に腰を引いて逃げようとする。
だが、私はそれを許さなかった。
逃げようとする彼の両膝を、私の両腕で外側からガッチリと抱え込み、胸元へと押し付けるように深く折り曲げさせたのだ。
「あ……ッ!?」
「逃げたら掃除できませんよ。……ほら、もっとよく見えるようになった」
抵抗したせいで、逆に秘部を最も無防備に晒け出す屈辱的なポーズに固定されてしまう。
私は満足げに微笑むと、指を、熱を帯びた窄まりへと滑り込ませた。
最初は、指の腹を内壁に沿わせるようにして、ゆっくりと溜まった熱を掻き出す動きだった。指を曲げて壁をなぞるたびに、ポーションと混ざり合った白濁が、ヌチュリ、と音を立てて溢れ出す。
「ん……っ、ぁ……、く……っ」
だが、指を抜き差しするたびに、私の指先に伝わる感触が変わっていった。
指を二本に増やす。内壁の襞を一つ一つ確かめ、押し広げる「弄り」へと変質していく。
指先を曲げ、奥を抉るように動かしていた手が、次第に角度を変えていく。指の第二関節まで沈め、弧を描いていた動きは、いつの間にか直線的に変わる。
三本に増やした指をピンと伸ばすと、力強い「突き」の動きへと完全に切り替わっていた。
ズプ、ズプ、と。
ポーションで滑りの良くなった内側を、三本の指が容赦なく、一定のリズムで叩き始める。
「ひぁッ!? お、い……それ、は、掃除じゃ……っ!」
「……あんたが指を欲しがって、吸い付いてくるからでしょう?」
指先が前立腺を、明確な意図を持って擦り上げる。
掃除のために「掻き出す」はずだった指は、今やドノバンの理性を再び焼き切るための杭となっていた。
私が指を浅く抜き、一気に深くまで突き入れるたび、彼の最奥はビクビクと痙攣し、足りない隙間を埋めようとするかのように私の指に絡みつく。
「あ、あ゛、……っ! んぁッ!! もう、やめ……っ!」
「嘘つきだ。……なんですかこの腰の動きは」
私は、彼の無意識の動きを見逃さなかった。
私が指を突き入れるリズムに合わせて、ドノバンの腰がシーツの上で艶めかしく揺れ、自ら私の手を迎えに行っているのだ。
それはまるで、細い指では満足できず、もっと太く、凶悪なモノで満たされることを期待して、空腹の獣が餌を強請るような動きだった。
「ほら、見てください。腰を振って、私の指を飲み込もうとしている」
「ち、が……! 勝手、に……ッ!」
「指じゃ物足りないんでしょう? もっと太いので、ガツンと突き上げてほしいですよね?」
ズプ、グチュッ。
指が出入りするたびに、溢れ出た証が泡立ち、耳を汚すような卑猥な音を奏でる。
ドノバンは涙目のまま、自身の浅ましい反応への絶望と、抗えない快楽に染まった顔を見せた。その表情が、私の理性を最後の一線まで押し流した。
「ま……っ、セルウィ……! 死ぬ……! おかしく、なる……ッ!」
「死なせません。……そんなに欲しいなら、望み通り愛してあげますから」
私は布を放り捨て、抱え込ませていた彼の脚を解放して、その体の上に覆いかぶさった。
◆
……空が白み始めた頃。
ようやく、私たちの長い夜は幕を閉じた。
ドノバンは今度こそ完全に意識を手放し、気絶するように眠っている。
私は、彼の股間で一晩中揺れ続け、今はぐったりと横たわるそのモノに食い込んでいる『根付け』に手を伸ばした。
あれほど「滑って解けない」と言い張っていた結び目だが、今の私は迷いなく指をかけ、するりと解いてみせる。
ジュワ、と。
革紐が肌から離れる瞬間、吸い込んだ水分が滲み出る音がした。
掌に回収したそれは、ポーションの残り香と、私たちが吐き出した大量の白濁、そして溢れた蜜を限界まで吸い込み、ずっしりと重くなっていた。
指に絡みつく、冷たくねっとりとした粘着質。
本来なら不快でしかないはずのそのぐちゃぐちゃな感触を、私は愛おしむように指の腹で確かめた。
(……完全に私とドノバンさんの匂いに染まっている)
さすがにこのまま戻すわけにはいかない。
私はポーチから清潔なハンカチを取り出すと、汚れた根付けを宝物のように丁寧に包み込んだ。
宿に戻り、綺麗に洗い清めてから、再び私のポーチへと結び直そう。
本来は魔剣を守るための革細工。
だが、これからは違う。たとえ汚れが落ちたとしても、そこに刻まれた事実は消えない。
(もう、ただのお守りじゃない。これは、私とあんたを繋ぐ淫らな鎖だ)
魔物と対峙する戦場であれ、何気ない街中の日常であれ、私の腰でこの房飾りが揺れるたびに――私は思い出してしまうだろう。
この紐に締め上げられ、涙を流して喘ぎ、私の下でいやらしく腰を振っていたドノバンの痴態を。
彼自身が作ったお守りが、彼を辱める道具に成り果てた、この最高に背徳的な夜の記憶を。
そしてそれは、彼にとっても同じことだ。
(これを見るたびに思い出させてやる)
これから毎日、私が監視小屋へ報告に行くたびに、ドノバンは私の腰で揺れるこれを目にすることになる。
真面目な顔で仕事の話をしていても、視界の端にこの根付けが映るだけで……彼は思い出さずにはいられないはずだ。
自分が作ったそれが、かつて自身のモノを締め上げ、快楽を与え続けたあの感触を。
私の下で理性を失い、快感に喘がされた昨夜の記憶が蘇り、仕事中だろうと顔を赤らめ、身体の奥を疼かせてしまうに違いない。
(ふふ。いい『呪い』になった)
私は自身の遠征用マントを広げ、ドノバンの体にそっとかけた。
私の匂いと熱が染み付いた布で、彼を繭 のように包み込もうとした――だが。
「……さすがに、デカいな」
やはり、私のマントでは、彼の規格外の巨体を隠し切るにはサイズが足りなかった。
布からはみ出した丸太のような腕や、無防備に投げ出された頑強な太腿。
そこには、私が一晩かけて刻み込んだ愛咬 の痕や、強く掴んだ指の跡が鬱血して赤黒く浮かび上がり、隠しきれない惨状を朝日に晒していた。
「う……っ、ん……。あぅ……」
不意に、ドノバンの唇から苦しげな寝言が漏れた。
眉間に深い皺 を寄せ、夢の中でもまだ私の責めに耐えているかのように、ビクりと体を震わせる。
その痛々しくも愛おしい反応と、マントから溢れ出る生々しい傷跡を改めて目の当たりにして、私はふっと口元を緩めた。
「……やりすぎたな」
苦笑が漏れる。明日、彼は動けないだろう。
だが、それでいい。彼の心にも体にも、二度と消えない私の痕跡を刻み込めたのだから。
私は、マントから無防備にはみ出した、鬱血した肩口へと顔を寄せた。
そこにある、私が刻んだ鮮やかな所有印の上へ、とどめを刺すように唇を押し当てる。
チュ、と。
自身の所有権を再確認するような、甘く、重い口付け。
(手に入れた)
確かな実感が、胸を焦がす。
この傷だらけの不器用な男が、次に目覚めた時、どんな顔で私を見るのか。
それを想像するだけで、私の心は朝焼けよりも熱く、執着に燃え上がっていた。
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