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それはいつも通りにベッドに座って、いつ来るか分からない客のことを待っている時だった。 扉が開かれ、はっと弾かれたかのように愛賀は客の方へ行き、出迎えようとした。 「犬は床に座ってろ」 入ってくるなり、床を指差してそう言ってきた。 どういうことなのだろう、と夢から醒めない頭で訳が分からずともそろそろと床にぺたんと座った。 「犬のクセに服なんか着ているな」 そう言うなりベビードールを剥ぎ取られた。 「⋯⋯⋯ぇ」 あまりの出来事にすぐに理解ができずにいた。 放心状態の愛賀にTバックも引きちぎりそうな勢いで取った客は、「これを身につけろ」と手に持っていたバッグから取り出してきたのは、黒い物。 それは両手足それぞれに取り付けられ、二の腕、太もも部分にはベルトがあり、それを締められる。 ラバー製のそれはまるで愛賀に用意されたかのようにぴったりとし、手足先は大きな四本指となっており、中は何か固い素材となっているようで、それは強制的にグーの形にさせられ、ラバー製の手袋で何かを掴むことが出来ない構造になっていた。 ご丁寧に肉球があり、このような状況でなければ素直に可愛いと思うところだったかもしれない。 何も掴めず、とはいえ自分で脱ぐことすら皆無であるものを身に付けられ、ベビードールよりも心許なく晒されてしまった傷だらけの身体をそれとなく手で隠していると、「四つん這いになってろ」と怒声を浴びた。 ビリリと空気が震えるような声に、ビクッとした愛賀はそそくさと四つん這いとなった。 それを一瞥した客は愛賀に犬の耳カチューシャを取り付けた。 「かわいいな」 途端、口元を緩めた客は顎を撫でてきた。 その手つきが気持ちよく、愛賀は目を細める。

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