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第18話一番大切な物
ふわふわと漂っていた意識が急激に戻ってきて、カイはうっすらと目を開けた。
目の前にいたのは、大事そうにカイを腕に抱くスノウだ。
「カイ、目が覚めた?」
「うん……」
まだぼんやりとしているカイは、身じろぐ。
「駄目だよ」
身を起こそうとしたけれど、しっかりとカイを抱き込むスノウは、満ち足りた笑みを浮かべている。
(俺はスノウと番になったんだ……)
なんだか気恥かしくて、スノウの顔が見られない。
カイはモゾモゾと向きを変えると、いつの間にか寝間着を着ている事に気付いた。
あれだけ睦み合ったのに、身体もさっぱりしている。
真新しいシーツの上で、カイはスノウと一緒に毛布を被っていた。
「ありがとう……その……綺麗にしてくれて」
「カイは俺の番なんだから、お世話をするのは当然でしょ?」
照れくささが抜けないカイが頬を染めると、スノウは優しく目を細めた。
「カイ、疲れたでしょ? もう少し眠ろうか」
優しく狐の耳を撫でられ、カイはスリスリとスノウの胸元に頬を寄せる。
(スノウの匂いがする……俺の好きな匂い)
うっとりとその匂いに酔いしれていた時だった。
「カイの一族は番になる時どうするの?」
スノウが興味深そうな顔をして尋ねてきた。
「俺の一族は、自分が一番大切にしている物を相手に贈る」
「えっ! それって……」
首元で輝くカイの父の魂魔石 で作られたペンダントを手に取り、スノウは驚きで目を大きく見開いた。
「俺……もう貰ってた? カイの大切な物」
カイの一番大切な物。それは両親が遺した魂魔石 だ。魂魔石 は両親の魂そのものだから。
母の魂魔石 はピアスとして、カイは常に身に着けている。
父の魂魔石 のペンダントは、カイはスノウに渡していた。
「……あの時は……深い意味なんて考えてなかったんだ。スノウのお守りになれば良いって思っただけで……」
奴隷から解放されたばかりのスノウには、必要な物だと感じたから。
きっと父が守ってくれると、カイは思ったのだ。
自由を取り戻したスノウを。
「ありがとう。嬉しいよ!!」
頬を真っ赤に染めたカイを、スノウが強く抱きしめる。
「俺達とっくに番になってたんだね!!」
【完】
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