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33.スイッチを押してしまった
ランチの後、尚輝くんに連れられてこれまた高そうなホテルに来た。あ、エッチなホテルじゃないよ?スーツ着た人やファミリーも使ってるようなちゃんとしたホテル~。
尚輝くんが取ってくれた部屋はこの前のとは違って部屋数が少なくて、階層も真ん中辺りだった。
それでも豪華なのに変わり無く、部屋の家具や家電などが俺が見ても分かるぐらいに質の良い物だった。昨日のラブホに比べたら全然広いしね!
「ごめんなさい、急だったので中間の部屋しか取れませんでした」
「何言ってんだ!贅沢過ぎるぐらいだろっ!てか尚輝くんならラブホやビジホとかでも良かったのに~。いつも気を使ってくれてありがとね♪」
俺は特に気にする事もなく言った。
だって本当の事だから。この数回のデートで尚輝くんは本当に真面目なんだって分かったから。絶対に俺が嫌がる事はしないし、むしろ尚輝くんから遠ざける事もあるぐらいだしな。
だから無理矢理何か乱暴な事をされたりしないと思うんだ。きっと尚輝くんがゲイだったとしてもそこは信じられる。
「あの、それってどう言う意味でしょうか?俺とならって、期待しても良いんでしょうか?」
「ん!?あ、ごめん。尚輝くんは良い子だから信用出来るって意味だよ」
「……そうですか」
明らかにしょんぼりしてる尚輝くん。
うーん、ちょっと言葉が良く無かったか。
せっかく楽しい空気だったのに、俺の一言でまた暗くさせちゃうなんて……
俺はいつもそうだ。見た目とのギャップを言われる一つでもあるこの性格。
そのせいで嫌がられたり、愛想尽かされたりして来た。
「思ってたのと違う」
そんな風に言われて俺から離れて行く人達。
でも俺は俺だしと開き直って生きて来た。
これからもそれは変わらないと思っていたのに、俺の目の前で悲しそうな顔をする尚輝くんを見てたら変わらないといけないと思ってしまった。
「ごめん!また俺のせいで空気悪くしちゃったな。遅刻はするし、デリカシーない事ばかり言って……本当に救えねぇな俺」
「伊吹さん?」
「これからは気を付けるよ。俺もちゃんと尚輝くんの気持ち考えて行動や発言する。本当にごめんなさい」
「や、やめて下さい!伊吹さんは何も悪くありません!それと、伊吹さんはそのままでいて下さい。俺はそのままの伊吹さんが好きです」
「尚輝くん……どこまでも良い子だな♪それじゃあ俺からのお願い一個聞いてくれる?」
「はい!何でも聞きます♪」
俺は尚輝くんに近付いてニッコリ笑ってお願いをしてみた。
「尚輝くんも俺に対して言いたい事ややりたい事をハッキリ言ってくれよ。いつも俺の様子伺って、遠慮してるじゃん。俺、尚輝くんともっと仲良くなりたいんだ」
「でも、そんな事したら伊吹さんの迷惑になりますっ」
「それ!いつも迷惑になります~とか言ってるけど、その迷惑かどうかは俺が決める事だろ?だから迷惑とか考えずに話してよ」
「分かりました。やってみます」
「よし♪良い子だ~♪」
俺は尚輝くんの頭に手を伸ばして撫でてあげた。
尚輝くんは俺よりデカいけど、なんか弟みたいなんだよな。可愛い俺に忠実な弟♪
そんな可愛い弟は、自分の頭を撫でる25歳の腕をガシッと掴んで更に顔を近付けて来た。
ん?ちょっと力強くない?
「お言葉ですが、今日会った時からずっと他の人の事を考えてますよね?それ、辞めてもらえませんか?それと、俺がゲイで伊吹さんの事を好きなのも忘れないで下さい。のこのこと密室になるようなホテルに連れ込まれて、俺も男ですよ。理性が負けて伊吹さんの事を襲わない保証はありませんよ」
「お?おおお?」
尚輝くんは何かのスイッチが入ったかのように、顔をキリッとさせて俺の腕を掴んだまま反対の腕で俺の腰を引き寄せた。
そしてギュッと抱き締められる。
ヤバいヤバい!これヤバいやつじゃね!?
「お願いです。絶対にホテルとかは他の人とは行かないで下さい。俺だけにして下さい」
「な、尚輝くん!?スイッチオフにしてあげようか!?てかスイッチどこ!?」
「何訳の分からない事言ってるんですか。俺のスイッチを押したのは伊吹さんですよ」
フワッと優しく笑った尚輝くんに、俺はドキッとしてしまった。
なんだよこのドキッて!あれれー?俺、20歳の男にときめいてるー!?
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