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35.添い寝とは

 俺はベッドに寝転がって隣に尚輝くんが来るのを待っていた。かれこれ30分は待ってるんじゃないか?暇過ぎてスマホいじったりなんかして。  尚輝くんはどこにいるのかと言うと、部屋の中をウロウロしたり、バスルームの方へ行ったり来たり。たまに目が合うと、サッと逸らされるけど、これ何タイム? 「尚輝くーん、これ放置プレイってやつ?」 「ち、違います!」 「じゃあどうしてずっとウロウロしてるのー?早くおいでよ」  俺はベッドに肘を付いて隣をポンポンとすると、ハッとした顔をしてゆっくり近付いて来た。  ちょっと怖い顔してるけど、もしかして緊張してる? 「尚輝くん大丈夫?」 「えっと、正直大丈夫じゃないです」 「仕方ないな~、ほらこっち来て座って」  俺が体を起こして近くまで来た尚輝くんの手を引くと、ストンとベッドに座った。   「尚輝くん、こっち見て」 「伊吹さん……」  恐る恐ると言った感じで俺を見る尚輝くん。  強張った表情が緩むのを見たい。俺は何を思ったのか尚輝くんの肩に手を置いて、身を乗り出しほっぺにチュッとキスをする。    すると、尚輝くんの顔が見る見る赤くなって行った。うわ、こんな顔もするんだ! 「い、伊吹さん!何を!?」 「いや、俺も分かんない。尚輝くんになら出来るかなって。嫌だった?」 「嬉しいですっ!でもっ俺、こういうの慣れてなくて……」  手で口元を押さえて恥ずかしそうにしてる尚輝くんは嘘じゃないって分かるぐらいに動揺していた。  俺だって慣れてる訳じゃないよ。だけど、尚輝くんがその何倍も初々しい反応するから何となく落ち着いていられた。  それにしても何でキスなんかしちゃったんだろ。普通に考えて思わせぶりな事をするのは良くないのに。  尚輝くんに言った通り、出来ると思ったんだ。  俺は男を好きになった事は無い。普通に女の子が好きだし、キスとかは女の子としたいと思ってる。  俺、どうしちゃったんだろ…… 「尚輝くんの緊張ほぐしたかっただけなんだ。軽はずみな事してごめん」  申し訳なくなったから謝った。  すると尚輝くんは俺を見てニコッと笑った。 「気遣ってくれてありがとうございます♪お陰で緊張解けました♪」 「ほんと?」 「はい♪添い寝、してくれますか?」 「もちろん♪」  いつもの優しい尚輝くんに戻ったから、俺はホッとしてベッドに横になる。  はー、やっと約束のオプションクリア出来るわ~。何気に今日の遅刻引きずってたからね。  もう尚輝くんに申し訳なくて仕方なかったから~。  尚輝くんもベッドに入って俺の横に仰向けで寝転がる。  俺は尚輝くんの方を向いて横になっても凛々しい顔を見ていた。  添い寝したらお詫びも完了って事でスッキリするかなって思ってたんだけど、ところで添い寝って何?  やった事ないからこの後何したらいいのか分からん。  尚輝くんはずっと上向いたままだし、特に会話もないし、ただお互いベッドに寝転がってるだけ。  これ、合ってんの? 「ねぇねぇ」 「はい?」  仰向けのまま返事をする尚輝くん。  添い寝って楽しい?聞こうとしてやめた。   「いや、これあとどれぐらいやる?」 「俺は何時間でもやってもらいたいぐらいです!でも伊吹さんが辛いでしょうから伊吹さんのタイミングで切り上げて下さい」 「別に寝てるだけだし、俺も何時間でも出来るけどさ~、デートの時間終わっちゃうよ?いいの?」 「今日はこのまま終わっても満足です♪」 「あ、そう。それならいいんだけど」  俺が逆の立場なら何サボってんだって文句言ってる所だぞ。  本当最近の若い奴の考える事は分からないなぁ。  俺はジーッと尚輝くんの長いまつ毛を見ながらぼんやり考えてると、ちょっとイタズラをしてみたくなった。    とにかく暇だった。てかこのまま何もしなかったら寝てしまいそうなんだ。   「尚輝くんてまつ毛長いよね。触ってもいい?」 「まつ毛ですか?いいですけど」  俺の言葉にやっとこっちに顔を向ける尚輝くん。  顔だけ横にして、目が合うとパッと目を逸らされた。  まだ緊張してんのかいっ! 「んじゃ触るよー?」 「はい」  目を伏せて俺が触るのを待ってる尚輝くん。  いつも見ていた長いまつ毛に軽く触れると、尚輝くんはピクッとして目を閉じた。目の周りを触られるとか普通に怖いよね。  俺はまつ毛を触った後、そのまま尚輝くんの顔に手を当てて輪郭をなぞり、親指で唇をフニッと触る。20歳の若い肌はまだスベスベで、薄い唇も柔らか過ぎず硬過ぎず。  女の子とはまるで違う作りだ。  だけど俺は妙に触れていたかった。  他のおっさんには絶対にしないし抱かない感情に俺は何でだろうとひたすら不思議に思った。

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