60 / 76
第60話
「今日は答え出さなくていい」
彼はそう言って少しだけ笑った。
それから
いたずらっぽく首を傾げる
「でさ、次いつ会えるかな」
その言い方が
あまりにもいつも通りで
胸の奥がきゅっと鳴る
駅までの道のり
どうやって来たかも忘れた。
電車に乗って
座って
窓の外を見る
考えようとする
でも
さっきの言葉が
何度も頭に戻ってきて
思考が先に進まない
-住みたい
-知ってた
-高校の時から
どれも重すぎて軽すぎた。
スマホが震える
彼からだった。
「返事はいつでもいい」
「俺はいつも通り誘うし」
「お前と飯食うから」
画面を見つめたまま
何も返せない。
期待していいのか
現実を見た方がいいのか
分からない
次のご飯のことだけは
はっきり頭に浮かんでしまった。
ともだちにシェアしよう!

