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第60話

「今日は答え出さなくていい」 彼はそう言って少しだけ笑った。 それから いたずらっぽく首を傾げる 「でさ、次いつ会えるかな」 その言い方が あまりにもいつも通りで 胸の奥がきゅっと鳴る 駅までの道のり どうやって来たかも忘れた。 電車に乗って 座って 窓の外を見る 考えようとする でも さっきの言葉が 何度も頭に戻ってきて 思考が先に進まない -住みたい -知ってた -高校の時から どれも重すぎて軽すぎた。 スマホが震える 彼からだった。 「返事はいつでもいい」 「俺はいつも通り誘うし」 「お前と飯食うから」 画面を見つめたまま 何も返せない。 期待していいのか 現実を見た方がいいのか 分からない 次のご飯のことだけは はっきり頭に浮かんでしまった。

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