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第61話

考えすぎて また熱が上がりそうな気がした。 ーあ、これ 思考じゃない 決意はもう決まっていた。 タクシーを呼ぶ スマホを握ったまま、短く打つ 「今から、家行ってもいい?」 返事はすぐだった。 「いいよ」 それだけ 家に着いて 玄関前で、1度深呼吸して インターフォンを押す。 少しだけ笑っている。 「…どうした?」 その顔を見て思わず口が動いた。 「看病してくれるって聞いたんですけど ここで合ってますか?」 一瞬きょとんとしてから 少し息を吐く 「あってますけど」 それからいつもの調子で続けた 「不可抗力で俺のもの着ることになりますが 大丈夫ですか」 少し考えるフリをして 正直に答える 「それがやりたくてここ来ました」 彼の表情が一拍止まる それから観念したみたいに笑った。 「…入れ」 ドアが閉まる音が やけに静かだった 逃げ道はもう考えなかった。

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