62 / 76

第62話

「…んで何考えてたんだ」 靴を脱いだところで 彼が聞いてきた 「次、どこ行こうかなとか」 「展示会もいいかなとか」 自分でもわかるくらい 声が上ずる 「それ、嘘だろ」 即答だった。 言葉につまる 「…俺がここに住むの」 「迷惑じゃないかなとか」 「俺が…俺が--」 「はいはい、わかったから」 頬に手を添えてきた ひんやりしてて気持ちいい 「着替えような、顔熱いぞ」 目を閉じると、ふっと力が抜ける -あ、これ 安心してる顔をしてるんだと思った。 彼が小さくため息をつく 「どうせ、手続きいるだろ」 「今度から、泊まり来い」 「引越しはそっからな」 頬に添えられた手に 無意識にすりと擦り寄せる 頷く それを見て彼は少しだけ笑った。 「うちの看病は手厚いサービスたとなりますので ご安心ください」 そう言ってあっさり抱き上げる 「ちょ!?」 「暴れんな」 寝室まであっという間だった。 手早く着替えさせられて ベッドに寝かされる 布団をかけられて 額にまた手 「寝ろ」 その声を聞いたところで もう何も考えられなくなった。

ともだちにシェアしよう!