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第63話
そこから
泊まるということが当たり前になっていった。
仕事終わりに鍵を開けて
「ただいま」と言う場所
朝
彼がキッチンに立っているのを見て
少し安心する
その朝
視線があった時に
彼が一瞬目を逸らした。
「…久しぶりだな」
何のことか分からないふりをしようとして
出来なかった。
「いつからちゃんと休めてない?」
近づいてくる気配
触れられるよりも先に
息が詰まる
「わかんない」
「仕事忙しくて」
言葉が途中で途切れる
距離が近い
体温が伝わる。
考える余裕が少しずつ奪われていく
「無理してる」
低い声
反論しようとしてして
出来なかった。
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