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狐の嫁入り

 その後、番となった天さんと僕は、ご両親や義弟さんに番となったことを報告したのだ。  晴れた日に白狐一族で、お稲荷さんのいるお住いへ向かって練り歩く。  黒の紋付袴を身に纏い、唐傘を手にした天さんは、いつも以上にかっこいい。  僕はというと灰色の袴姿で狐面をつけ、頭から白いベールのようなかづきという布を被った。 「緊張しているか?」 「ええ、少し」 「大丈夫。お稲荷様は、いつも律を見守ってくれていた方だ。胸を張れ」 「はい」  天気雨の中を歩いていると沿道でパレードを見ている人間の母親と猫又を父親に持つ子どもの姿が目に入った。 「ママ、あれ、なーに?」  幼い少女が母親のスカートの裾を引っ張る。 「あれはね、狐の嫁入りっていうのよ」 「でも白無垢姿の女の人じゃないよ」 「確かにそうだな……」と少女の隣にいた父親が顎に手をやる。「男の人だから狐の婿入りだな」 「そっか。パパ、さすがー!」  仲のいい家族の会話に口元が綻ぶ。  空には、結婚式を祝福するかのように、きれいな虹がかかっていた。

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