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第4話 楓の嫁入り道具
「ねえ、それよりもさ。私、結婚式まであと1か月もないのに、
嫁入り道具はどうしたらいいの?」と楓。
確かに結婚式は5月3日と決まっている。
式場も三上家の伝手で、庭園と結婚式場で有名な椿山園荘だ。
父が落ち着いた声で言った。
「お前には現金を持たせてやるから、
あちらのお母さんや友則さんと相談してから買った方がいいぞ。
同居するんだから、タンス類は要らないかもしれない。
どうせ部屋にクローゼットがあるんじゃないか?
ああ、でもベッドはどうかな。その辺も聞いてみなさい」
「はい、分かりました」
俺も口を挟んだ。
「楓はさ、着古した服は全部捨てていけよ。
肌着もだよ。どうせ家政婦さんが洗濯するんだろ?
新しいのを揃えていかないと恥かくぞ」
これは俺の貴重なアドバイスだ。
「うん、わかったよ……」
「楓姉さん、小さな家に越して来たら遊びに来てね」
「うん、行くよ〜」
そうだ、言っておかないといけないことがあった。
「あのさ、事前に言っとくと、颯太の生家の家政婦さんが
午前に来てくれるんだよ。掃除や料理もしてくれるんだけど、
どうしようか?ついでに皆の分も作ってもらおうか?」
「あらそう?料理上手だもんねえ。
でもうちにも家政婦さんがいるからどうしよう。
ご飯は皆で食べるってことで良いの?」
「うん、いいよ。じゃあさ、夕飯だけ一緒に食べようか?
で、ついでに家族の分も作ってもらおうかな。
家政婦さんもたまには休んでもらってもいいよね?」
「ちょっと待って、聞いてくるから」
母が台所に向かった。
台所には家政婦の未知さんがいる。
どう返事が来るか。
しばらくして、未知さんと一緒に戻ってきた。
「あのう、いいんですか?
皆さんのお夕食まで作っていただいて……なんか申し訳ないんですが」
颯太がにこっと笑って言った。
「良いの。うちは家政婦さんが4人いて、
みんな暇だから、うちに来るのがすごく楽しいみたいです。
だから仕事はいっぱいあった方が喜ぶと思う」
颯太は本当に楽しいやつだ。
ふふふ、笑ってしまった。
「確かにそうみたいなんだよね。
うちで二人分作るよりも、
やりがいがあるんじゃないかな?
遠慮しないで少しは休んでください。
家政婦さんが来たら、また紹介しますから」
「はい、分かりました。
ではお言葉に甘えさせていただきます。
ありがとうございます」
よし、これですべて整った。
「じゃあ、俺たちそろそろ失礼するよ。
引っ越しの準備をするからさ」
「うん、兄さん、よろしくお願いします」
「はーい、また来まーす」
今度は颯太と一緒に、ミツワの会社へ向かった。
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