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第39話

僕は、この選択を勝ちだと思えるほど若くない。 悠は、僕を秋頼に譲ったとも、秋頼に負けたとも思っていないはずだ。 ただ、「自分はここまで」だと理解しただけ。いや…分かってもらうまで追い込んだ。 一人で揺れる覚悟を決めれたのは、悠のお陰だ。その上で、その選択を支えてくれる秋頼を選んだ。 悠が与えてくれた「強さ」を利用して、自分の生きる道を決めた。 あまりに卑怯で、あまりに大人。そんな自分が嫌になる。 それでも、秋頼と離れる選択は存在しない。自分の重さを、秋頼に引き受けさせた。 そして、僕が預けた人生は軽くない。悠が受け止められる質量じゃない。 預けた分、秋頼の孤独を全て受け止める。 「大丈夫、もう僕は壊れない」 小さい部屋に、飾られた三人の写真。 そこには、初恋に夢しか持っていない自分がいる。恋は甘く、温かいものだと信じていたあの頃。 悠には全部あげた。初体験も、ときめきも。悔いはない…愛しきった。その経験が、今の自分を作った。 自分が何を欲していて、何に傷つくかを理解できた。それだけで、この恋は意味のあるものになる。 「ありがとう…悠」 この恋をなかったことにはしない。それも抱えて前を向く。 「あっ…でも、最初の頃、着崩した着物で誘うとかしとけば、もっと流れ変わったのかも」 「秋頼さんはどう考えてもバニーだな、露骨なの好きそう」 悠は、不特定多数に向けた色気で嫉妬を煽るより、自分だけが乱せる無垢さに欲情するタイプだ。それに、早く気付いていれば違う道もあったかもしれない。 秋頼は意外なことに分かりやすくスケベなのが好きだ。開き直った時の、野性味がすごい。早く…秋頼に会いたい。 そんな、俗っぽい想像をする。あんなことがあったのにこんな妄想するなんて不謹慎だ。正しくなくない。でも、この小さい部屋では、反応や、評価を気にしなくていい。 愛されたかった…沢山。そんな自分を否定しない。 相変わらず僕は重い。それでも、一人で揺れる…それが少しずつ、出来るようになってきている。 僕はこれからも揺れる。秋頼を愛しながら。悠を思い出しながら。それでも、前に進む。 揺れは、終わらない。揺れと生きる。それが僕の人生。それだけ。

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