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第3話 魂のズレ
「はぁー……」
あいつが大きく息を吐いた。
「なんで俺がそこにいるんだよ?」
今にも飛びかかりそうな見開いた目で俺を睨む。
「知らねえよ! お前こそなんでそっちにいるんだよ!!」
俺も息が止まりそうだった。
あいつも同じ顔をしていた。
海斗は俺の腕をぎゅっと掴むと、そのままズンズン歩き出した。
道玄坂を上り、小さなビルの屋上へ強引に連れていかれた。
俺だって結末をつけてやるつもりだった。
屋上に出た瞬間、怒号が飛んだ。
「なんでお前が俺なんだよ!? どうなってんだよ。
早く元に戻せよ! この始末どうしてくれるんだよ!」
イケメンのくせに怒るとこええ~。
「そんなこと言ったって俺のせいじゃねえだろ!
俺のほうが迷惑だよ。俺は平凡でいいんだよ。
頭も悪いし、お前は医学部だろ? 俺なんかついていけるわけねえだろ。
どうしてくれるんだよ! 元に戻せ!」
言いたいことは全部言った。
「そんなこと言ったって俺のせいじゃないだろうが、俺のほうが迷惑だよ」
くそイケメンが言いやがった。
「とにかくさ、お互いの身体は確保しておこうぜ。
いつ突然戻れるか分からないんだから」
自己保身に走る海斗。
「え? ちょっとぶつかっただけだよな?
もう一度ぶつかってみろよ」
俺が解決策を出した。
そして10メートル離れて全速力で二人でぶつかってみた。
「あ、痛てぇ……」
海斗がすっ転んだ。
「あれ? 変わらない。どうしたらいいんだろう?」
俺だって肩が痛い。
こういう時はおばさんにヘルプできないかな?
「おばさーん! 出て来いよ!」
思いっきり叫んだ。
……来やしねえ。どこ遊んでんだよ。
肝心な時に出て来ねえ。
普段はあんなにおせっかいなのに。
「おい、もっと何回もぶつかってみようぜ。頼むよ。
今日はこれからモデルの仕事なんだよ」
「知らねえよ。具合悪いって言えばいいじゃん。
モデルの仕事なんてやったことねえよ。無理だよ。
それに俺だってバイトやってるんだぜ。どうしてくれるんだよ」
「とにかく対策考えよう。
いいか、いつ元に戻るか分からないから、お互いの身体は確保だ。
お前は絶対に俺から離れるなよ」
……やっぱ海斗は回転が早い。
俺は衝撃で頭が空っぽだった。
「わかったよ。で、どうするんだよ」
「まずお前はどこに住んでんだよ?
最低限の情報交換しようぜ。
それからお前は俺んちに来い。戻るまでうちで暮らすんだ。いいな」
「何威張ってんだよ。俺んちはどうなるんだよ。それに俺のバイトはどうするんだよ」
いきなり来いってなんだよ。
「いや、そんな長くはないと思うけどさ。
とりあえずいつも一緒に行動するしかないだろ?
それと悪いけど、医学部の授業だけは出てくれよ。
出席日数がやばいんだよ。
レコーダー持ってけ。イヤホンもつけてさ。
俺はどこか近くにいるから」
海斗は……全く自分のことだけだな。
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