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第5話 強制引っ越し計画

 で、ここからだよ。 さっきのマネージャーをつかまえた。 「あのう、申し訳ないのですが……これからしばらく仕事を休止したいんです。お願いできないでしょうか?」 「はあ? なんで?」 「母の具合が悪くて、しばらく行ったり来たりしないといけないんです。 モデルの仕事をする時間がなくて……本当に申し訳ありません」 「ええ? それ、誰かに代わってもらえないの?」 「いや、ムリですよ。息子は俺一人なんです」 「う~んと……どれくらい休むの?」 「いや、それは具合次第で……見通しは全然立ってないんです。 どうか、この通りです。お願いします」 深く頭を下げた。 「あら、そう。じゃあしょうがないわね。 またできるようになったら連絡してよ」 「はい。分かりました。真っ先にご連絡しますので。 では、よろしくお願いします。失礼します」 エレベーターに乗った瞬間、二人で座り込んだ。 「俺、足がガクガク。立てねえ」 「俺も全身汗びっしょりだよ。 とにかくこのままお前んち行こう」 俺の汚いアパートに来るのか......。 「それにしても、マジ演技うまいな~才能あるぜ」 「うれしくない」 そうやって俺のアパートに向かった。 うちは渋谷から電車で30分、駅から徒歩15分。 遠いから家賃がやや安い。 ボロいワンルームだ。 「ここだよ」 部屋に入ると、西向きだから暑い。 「暑いな~。でもまあまあ分かったわ。 ちょっと住所をメールで送ってよ」 住所をLINEで送ると、海斗はさらさらとスマホをいじり始めた。 「はい、明日の朝一でトラックが来るからさ。 このアパートの不動産屋に行こうよ」 「えっ? もう?」 駅前にあるから、また15分歩く。 「ちょっと待て、ドリンクあるから飲むか?」 「飲む」 アイスコーヒーの缶を出した。 安いけどうまいやつ。 「俺たち、どうすれば戻れるんだろうなあ?」 「わかんないよ。でも聞ける人を一人知ってる」 「え? 誰?」 「俺の前世のおばさんだよ。 時々出てくるから喋るんだ。 でもお前が一人なら出るかもしれないけど……それは分からない」 その時、急に腕の違和感で両腕をさすりまくっていた。 海斗「どうした?」 「寒気がする。なんでだろ…… あ、いたずらしてんのかな? おばさん、いたずらやめてよ。 渋谷ですれ違っただけで、こいつの中身が入れ替わっちゃったんだよ。 何とかしてほしいんだけど、頼むよ。 おかげで明日は引っ越ししないといけないんだからさ。 助けてよ」 室内をキョロキョロして、おばさんが出てくるのを待った。 「あれ、出てこないなあ。 とにかく不動産屋に行かないとやばいだろ」 「よし、行こう」 その足でまた駅へ向かった。 「今度はお前が演技してくれよな」 「わかったよ。契約書は持ってきたか? 印鑑も」 「持ってきたよ」

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