7 / 15
第7話 天使(おばさん)降臨
「おばさ~ん、出て来てよ。
明日はこいつんちに引っ越さないといけなくなったんだよ。
どうする? 早くなんとかしてくれよ、頼むよ」
「海斗もさ、おばさーんって呼びかけてよ。
でないと戻れないよ」
「おばさ~ん! 一生のお願いです!
俺たちを助けてくださ~い! 出て来てください、お願いします!」
天使「ほい、来たー」
天使「ほら、出て来てあげたよ。
一体どうなってるの?」
天使のおばさんがひょこっと俺の横に現れた。
「へっ、びっくりした~! おばさん出てきたよ!」
「え? どこ? 見えないけど」
海斗は部屋中をキョロキョロ。
「今の声聞こえなかった?」
「何にも聞こえないよ」
「うわ~じゃあ通訳しないとダメなのか……
おばさん、助けてよ。いきなり中身が変わっちゃったんだよ」
天使「ええ~? や~だ~。
せっかくイケメンが目の前にいるのに、もったいないわよ。反対!」
ああ~もう、頭抱えた。
「どうした? なんか言われたのか?」
「せっかくイケメンが目の前にいるから、もったいないって嫌がってる」
「あははは! 面白いおばさんだな。
なんで俺には聞こえないわけ?」
「そうだよ、おばさん、彼にも聞かせてやんなよ」
天使「それは無理。波長が合わないと聞こえないよ」
「あのさ、波長が合わないと聞こえないんだって」
「へえ~そうなんだ」
「おばさん、早く元に戻る方法を聞いてきてよ!」
‥‥‥___。
なんでだか、返事もしないし......もう待ってられないわ。
「とにかく荷物作ろう。寝る時間がなくなるよ」
11時になって、ようやく目処がついた。
慌てて交替で風呂に入った。
「あのさ、ベッドが1つしかないから、お前は下に寝てくれない?」
「はあ~? 俺はベッドでしか寝たことないんだよ。
お前が下に寝ろよ」
「ああ~いやだいやだ.....」
ボンボンはなんてわがままなんだ。
しょうがないから荷物からキャンプ用の寝袋を出した。
「早く寝よう。疲れたよ。
明日目が覚めたら元通りになってるかもしれないし」
「そうだね。そうしよう。お休み」
「うん。お休み。
おばさん、明日の朝までには戻してよね。頼むよ」
天使「わかったわよ」
「へ? いたの?」
天使「だってイケメンを眺めてたっていいでしょう?
あの世にもイケメンは滅多にいないんだよね~」
「そうなんだ……分かったよ。とにかくおやすみなさい」
そのまま疲れてぐっすり寝てしまった。
翌朝、アラームで起こされた。
なんだか身体がずっしり重い。肩もこりこりだ。
顔を洗って朝食の準備。
食べ終わったら食器洗って荷物に入れないといけない。
「おい、海斗、起きろよ」
……駄目だ。寝起きが悪い。
ベッドで寝たくせに。
なんで俺にすり変わったんだよ。
俺はイケメンが好きなのに。
たまに渋谷ですれ違う、超イケメンで高身長の海斗。
絶対アルファだよ。
学内イケメンコンテスト優勝のやつ。
俺は遠くから見ていたのに、
今はベッドで俺が転がっている。
おかしいぜ。
つくづく不細工で地味だな、オレって嫌になる。
人生は何があるか分からないなあ~って……
……おばさんの口癖が移った。
ともだちにシェアしよう!

