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貫通と失禁

 硬い透明なキューブで痺れるほどに冷やしたときも、硝子の薬液瓶のアルコホルをピンセットで摘んだ脱脂綿に含ませて消毒したときも、待夜駅は、耐えていた。  目をつむり、頬をうす赤く染め、息をこらして。唇は、ふるふると震えていた。  碧翠堂が、銀色の針で真っ赤な果実を刺したときも、ひと言も声を漏らさず、待夜駅は歯を食い縛り膝を震わせて耐えていた。  だが、下半身を僅かに覆っていた最後の布きれの間から液体が漏れだした。  むわっと、蜜のような湿った臭気がした。  布きれはぐっしょりと濡れて、襁褓のように垂れ下がった。生あたたかく静かに白い湯気が仄暗い空間に薄っすらと立ちのぼった。琥珀色の液体は、ひそやかに腿を這い脛をつたい、やがて雨粒のようにポタポタと足もとの床に垂れはじめた。  そしてすぐに、土砂降りのにわか雨のように、堰を切って流れ落ち、液体は足下の床に水たまりを作った。  それでも待夜駅は、声をあげなかった。ただ、静かに立ちのぼる湯気の中に立っていた。法悦のごとく天を仰ぎ口を開け、目をかたく瞑っていた。羞恥と快感の絶頂のように、恍惚として。

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