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第1話 僕を狂わせる香り ***
「くっ……は、ぁ」
逃げ出そうとして伸ばした手はそのまま上から抑えられ、ベッドに縫い付けられた。
今まで経験したことのない、酔うような、心地よくて溺れそうな香りが部屋に充満して、鼻腔から入り込んだその粒子が僕の脳内を狂わせる。
背中に感じる重みはか弱い女性のものではなく、逞しくて鍛えられた男性のものだった。
――なんで、こんなことに。
そんな疑問は、身体を幾度も貫かれるうちに乱されて、口から漏れる喘ぎ声と共に掻き消えた。
「ひぅッ、は、ぁあっっ!!」
僕のナカへ捩じ込まれた肉棒は何度その精を放っても衰えることはない。
最初は痛みと違和感、そして恐怖しかなかった行為は、時間を追うごとに快楽を植え付けていく。
そして、まるで幾夜も一緒に過ごした恋人であるかのように、僕たちはお互いにタイミングを合わせて腰を振る。
しかし、それももう、体力的に限界だ。
ぐぽ、と奥深くを抉られ、一瞬白目を剥いた僕の脳裏と身体に、稲妻のような感覚が駆け抜ける。
「……っっ」
どくどく、と何度目かわからない精を放たれ、腹の奥が熱くなった。
完全に力が抜けきって動かすことのできない身体をぐりん、とひっくり返され、僕を犯し続けた男と対面する。
しかし、とうに限界を超えた僕はまともに目を開けることもかなわず、視界は涙で歪んでいて、相手の顔すらまともに捉えることができない。
「――、――?」
目の前の男が多分何か、言っている。
僕はそれに応えることなく、自分の意識を真っ白な世界へ飛ばした。
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