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番外編② 現実ではじめまして・後編②
「はあ……」
夕飯や風呂などを終えて、気づけばもう夜。何年も住んでいるのに、いつもより広く感じる自分の部屋のベッドの上に仰向けに倒れ込んで、大きなため息をこぼした。
俺はゲーム内でシュンと会っていたときや、さっきまで現実で季春と会っていたときのことを思い出す。考えてみればゲーム内で恋人になってからと、金曜に会ってからの彼の態度は全く一緒だった。
駅から家まで手を繋いだときも、彼の部屋でキスや前戯をしていたときも。季春は俺を恋人だと思って接してくれていたわけだ。ひとつ考え出すと、次から次へと彼の行動が頭に浮かんでくる。
俺の身体を気遣って最初はディルドで慣らすだけにしたのは、ほんとに俺を大事にしてくれているから。温泉の話は俺との旅行デートを考えてくれていた。朝から恋人みたいなキスをしてきたのは、本当に恋人だと思っていたからなのだ。
さらに考えてみれば、シュンは恋人だと思っている俺に早く、そして予定よりも長く会いたくなって連絡してきたのだ。すごく嬉しくて、同時にめちゃくちゃ申し訳なくなってくる。
シュンや季春との時間を思い出せば思い出すほど恋しくてたまらなくなってくる。つい一昨日まで自分の気持ちに気づいてすらいなかったというのに、ちょろくて正直すぎる自分に笑えてきてしまう。
このまま寝てしまうにはまだ早い時間。なんとなくスマホを手に取ると、メッセージアプリから通知が届いていた。
『ちゃんと帰れた?』
トーク画面に表示された季春の名前を見るだけで頬がニヤけてくる。返信しようとして、あ、と思いつく。
(声だけでも聞きたい……)
帰れたという返信と、少しでいいから話せないかというメッセージを送る。当然ながらすぐには既読がつかなくて、俺は気を紛らわせるためにテキトーにアプリを開いた。
『10分後ならログインできるよ。ゲーム内で待ってて』
少ししてから届いたメッセージを見て、俺は目を見開く。俺としては通話できたらくらいに考えていたが、たしかにゲーム内で会った方が顔を見て話せる。フルダイブ型VRゲームに感謝したのは、NPC姦プレイが実装されるニュースを読んだとき以来だった。
急いでVR機器を用意してベッドに寝転がる。ゲームを起動して見慣れたログインで渚を選択し、ゲーム内に入った。降り立った場所は前回ログアウトした町。同じ場所でログアウトしたから、このまま待っていれば彼が来るだろう。
「おまたせ、ナギ」
10分後、俺と同じ場所に降り立ったシュンが声をかけてくる。俺は軽く手を振りながら彼に駆け寄り、目の前で立ち止まった。
「へへ……さっきぶり」
自分から話したいとは言ったけどなんとなく気恥ずかしくなってしまう。照れながらそう言うと、シュンは行こうかと笑い、当たり前のように俺の手を引いて歩き出した。薄く紫がかった金の髪がいつも以上に輝いて見えるのは、俺が浮かれているからだろう。
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