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居場所のはじまり5
お昼はサラダはラタトゥイユ、スープはグリーンピースのスープ、メインは炒めた肉とマッシュポテトを重ねて焼き上げたものだった。そしてデザートまで出て、デザートはチョコムース。なんかもうお昼からこんなに食べちゃう? って感じだけど、どれも美味しくてペロリと平らげてしまった。でも、こんな豪勢な料理を食べたあとに和食の家庭料理なんて、みすぼらしいと思われないかな? それが心配になってきた。でも、作るって約束だから作るけど。だけどなにを作ろう。肉じゃがは作る気でいる。日本人の男の胃袋をつかむお袋の味だ。そしてメインは魚かな。焼き魚。ソースとかなにかはせずにシンプルに焼くだけ。秋刀魚や鮭があるといいけど。魚を焼いたら、ルナの食事も同じ魚で。問題は材料や調味料があるかどうかだ。魚は問題ないとして、料理酒って言ってもワインとかだろうな。肉じゃがに使う酒はないだろうから、それは抜きだな。肉は牛でも豚でもある方でいいや。あ、あとお米はあるみたいだからご飯炊いて。うん、そんなメニューでいいだろう。この献立なら簡単だし、時間もかからない。
そんなふうに夕食のことを考えていたらニコラスさんが来て、洋服の仕立屋さんが来たというので、ドキドキしながらサイズを測って貰った。人生初の仕立屋さんだ。だって服なんて当然吊るしもの。というかファストファッションだ。普通に日本で生きていたら仕立屋さんに服を作って貰うことなんてない。もちろんお金持ちとかは別だろうけど、庶民はそんなものだ。
「できるだけ数も多く、仕立ても早くと旦那様が仰っておいでですが可能ですか?」
「1度に納品ではなく、2回、3回に分けてもいいのでしたら可能です」
「そうですか。それではそれでお願いいたします」
俺はマネキンのようにただ突っ立っていただけで、仕立屋さんとの話はニコラスさんが進めていた。そんなにたくさんはいらないけど、洗い替えだろうな。晴れの日はいいけど、天気が悪かったら乾きづらいとかあるかもしれないから、数枚は必要かな。でも、できるだけ数は多くって客をもてなすからだろうな。異世界から来たということで仕事はしないでいいと言われて、ただの客人だ。せめてアベルさんのお手伝いくらいさせて欲しい。ほんとは洗濯とかもしたいけど、とても洗濯機があるとは思えないから断念する。それにあまりに色々なことをしたら逆に怒られそうだ。ほんとは仕事としてやらせて欲しかったな。いつ帰れるかわからないから。それでも、ここの言葉を覚えて本を読む時間と考えたら、仕事の傍らっていうのは難しそうだ。そうしたらお言葉に甘えて勉強に集中させて貰おう。
仕立屋さんが帰ったあとは少しお昼寝をして、起きてから厨房へと行った。
「あのー。厨房お借りしていいですか?」
「ああ、どうぞ。そばで見させて貰えますか? どんな料理をどう作るのか気になるので」
「俺が作れるのは家庭料理しかありませんから、そんなに大変なことはないですけど。あの、しょうゆやみりんはありますか?」
「しょうゆはあります。みりん、ですか?……そう言うのはないですね。他に必要なものはありますか?」
「あとは砂糖があればいいんですが、料理酒なんてないですよね」
「料理酒ですか? ワインで良ければありますが……」
「いえ、米で作った物なんですが」
「米で、ですか。タクヤさまの国では米で料理酒を作るんですか」
「はい」
「米はあるから作って貰えdるとは思うけど、今は用意できません」
調味料をわざわざ作って貰うという発想が俺にはなかった。まぁ日本酒はなければないで作れるからいいけど。わざわざ作って貰ったら高いだろうに。
「なかったら構いません。なくても作れるので」
「そうですか。他に必要なものはありますか?」
「調味料はそれだけあれば大丈夫です。あとは玉葱とお肉と、お魚なんですけど、お魚ってなにがありますか? 鮭とか鰺とか秋刀魚はありますか?」
「鮭がありますよ」
「良かったー」
「お肉はどれがいいですか?」
「えっと、牛か豚がいいんですけど」
「どちらもあるので、お好きな方をお使いください」
「そしたら牛肉を使わせてください。といっても少しでいいんですけど」
俺が言った食材をアベルさんは次々と出していく。
「これだけで作れるんですか? 調味料が少ないですけど」
「大丈夫です」
そんなに少ないかな? 水、しょうゆ、砂糖。みりんも料理酒もないからこれしかないけど、確かこれでも作れたはずだ。あとは味見しながら調整すればいい。大体、しょうゆと砂糖があればかなりの味付けができる。よし、作るか。
「俺も手伝いましょうか?」
「そしたら、ご飯を炊いて貰ってもいいですか?」
「わかりました」
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