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エピローグ
ヴァルター侯爵が失脚して1ヶ月。レオニスさんは以前のように貴族院に復帰し貴族院に通う傍ら、休みの日にはマメに街や市場に顔を出すようにして、庶民の暮らしを見て、声を聞いている。そして俺はレオニスさんが市場に行くときはついていき、アルドさんの荷下ろしの手伝いなどをしている。市場の人にはほんとにお世話になったから、忙しい人のお手伝いくらいはさせて貰うようにしている。みんなはレオニスさんへの恩返しだし、困っている人を助けるのは当然だからと言って必要ないと言うけれど、気持ちの問題だからと言ってさせて貰ってる。
そして今日は、ヴァルター侯爵失脚後に出した庶民救済法案がどうなるか結果が出ると言ってレオニスさんは出かけて行った。屋敷の人たちもだけど、俺もドキドキして何をしても上の空だ。そして午後6時。玄関前に馬車が止まる音がした。帰ってきた! それに気づいた俺はもちろんだけど、使用人の人も玄関へ急ぎ、それを見た人も集まった。
「お帰りなさいませ」
「ただいま」
俺は使用人の人たちの後ろから、その光景を見ていた。レオニスさんの表情は暗くない。ということは可決されたんだろうか。レオニスさんが口を開くのをうずうずしながら待っていた。
「法案は可決された」
そうレオニスさんが言うと、みんなは隣の人と顔を見合わせて喜んでいる。そしてニコラスさんは笑顔で「おめでとうございます」と言っていた。
可決、されたのか。良かった。これまで何度も却下されて来ていたというから、可決されたことは使用人のみんなにとっても悲願だっただろう。そして俺も可決の言葉を聞いて大きく息を吐いた。良かった。ほんとに良かった。そう思うと目が潤んできた。街の人や市場の人も喜んでいるだろう。俺が涙を拭いながら立っていると、レオニスさんが来た。
「タクヤ、ただいま」
今まで見たこともないような笑顔を浮かべている。可決されたことがどれだけ嬉しかったかが見てとれる。
「可決、おめでとうございます」
「ありがとう。タクヤのおかげだ」
「俺はなにもしてませんよ。応援してただけです」
「なにを言う。タクヤは救世主だろう。これで証明された」
「俺がと言うより、ルナじゃないですか? 神の使いでしょう」
「じゃあタクヤとルナのおかげだな」
「夕食に和食を作っておきましたよ」
今朝、貴族院へ行くときにレオニスさんは夜は和食がいいと希望していた。却下された場合は癒やしに、可決されたら祝いに、そう言っていた。だから、かれいの煮つけを作って待っていたんだ。
「ありがとう。これで話しを進めよう」
「はい……」
話しとは俺たちの結婚のことだ。プロポーズされたとき、2人で決めたんだ。法案が可決したら結婚の話しを進めようって。もっとも話しと言ったって、この屋敷の人や貴族院の改革派の人たちと言った内輪だけの式で、市場の人たちには事後報告にするだけだけと。レオニスさんはご両親は既に亡くなってるし、兄弟もいない。そして俺は異世界人なので家族と言ったらルナしかいない。だからきちんとした式なんて必要ないって話しをした。だから、法案が可決されたから、改革派の人たちを屋敷に招いてパーティーをするだけだ。それでも俺はそれを機に伯爵夫人となる。この世界に来て数ヶ月。来たときはこっちで結婚するとは思わなかった。でも、これでいいんだ。俺にはレオニスさんとルナがいる。それで俺は幸せなんだ。
「タクヤ。幸せになろう」
「はい!」
THE END
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