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第6話 二人の挙式

カルロを連れた一行は、何事もなく無事にアルテネの城まで到着した。 「着替えたら直ぐに式を挙げるぞ」 「……え?」 ノルディアスに急かされ、カルロは首を傾げる。 まだ国王に、挨拶すらしていないのに。 「あの、アルテネ王は……」 「今日は国内行事に参加しているはずだ。男同士の式なんか興味がないと言っていたし、いなくても問題ない」 「そうですか」 主役のひとりが不在なまま、カルロだけで式を挙げるのだろうか。 少し不安に思いながらも、それがアルテネ王の人質への仕打ちならば仕方ない、と思い直して準備されていた挙式用の衣装に袖を通す。 「カルロ様、美しいです……!」 「ありがとうございます」 着替えを手伝ってくれたアルテネの介添人たちが感動したようにカルロを褒め称え、カルロはさらりとお礼を返す。 確かに、アルテネ王の用意していたカルロ用の衣装は、驚くほどに豪華で凝ったものだった。 自分との挙式に興味がなく本人不在だと言われたものだから、奴隷のような服でも着せて見世物にするのかと思ったのだが、どうやらそういうわけではないらしい。 「ノルディアス様の準備も整ったようなので、そろそろ参りましょうか」 「はい。……え、ノルディアス? 私はアルテネ国王の十番目の伴侶になるのでは?」 キョトン、としたカルロに、介添人たちは驚いて手を振り、その質問を否定した。 「何をおっしゃるのですか! これから挙式されるのは、ノルディアス様とカルロ様ですよ」 カルロはやっと、腑に落ちた。 道中、よく兄王の伴侶となる相手にああも遠慮なく手を出す気になるな、と思っていたのだ。 そういえば、アルテネからの書状には休戦する代わりにカルロを嫁としてアルテネに差し出すよう書いてあっただけで、どこにも「アルテネ王に嫁げ」とは書いていなかった。 こちらが勝手に、アルテネ国王に捧げられるのだろうと解釈しただけだ。 それから二人の、無駄にダラダラとした国同士の絆を確かめ合うような長い挙式……ではなく、あっさりとした短い挙式が終わり、アルテネの貴族たちをカルロに紹介する宴が二時間ほど催された。 あっという間に夜になり、初夜である。 「ああ、長かった。お前を見つけるまでも長かったが、お前を迎えるまでの一年はもっと長かった……」 「そうでしたか」 ノルディアスはアルテネ城内にある別棟に住まいがあり、カルロもノルディアスと同じ部屋に住むことになるらしい。 宴で振る舞われた強めの酒で火照った身体を少し冷ますため、二人は寝室に備えられたバルコニーで涼んでいた。 「カルロ。昔交わした約束を覚えているか?」 「昔の約束?」 そういえば、国境でノルディアスに迎えられた時も似たようなことを言われたな、と思いながら、カルロはノルディアスの口付けを受け止める。 散々尻穴を弄られていながら、接吻をしたのは初めてだった。

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