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第9話 帰郷

それから、三年後。 カルロはノルディアスと共に、懐かしい故郷へと足を運んでいた。 「お久しぶりです、兄上」 カルロはにこりと微笑みながら、優雅に礼をする。 一方声をかけられた十歳年上の兄王は、その華美な装飾の玉座に座りながらも、顔を真っ青にしていた。 「お、お前、どうして……っ! アルテネでとうに息絶えたはずでは……」 まるで生霊を見るかのように、兄上、と呼ばれた男はカルロを見る。 「いいえ? あなたの弟は、こうして五体満足ですし、怪我ひとつしておりません」 「そんなはずは……」 ストラヘイムの国王は、身体を震わせる。 見目麗しい弟のカルロを、隣国アルテネに嫁がせたのは間違いない。 心も身体も千々に引き裂かれるような目に遭ったはずなのに、目の前に立つ弟は前と変わらず、いや前よりも更に妖艶さが増した状態でそこに存在していた。 「兄上には、私の主人から第一王女殿下の婚約を破談にするよう、何度も書状を送らせたのですが、届いておりませんか?」 「第一王女の……?」 ストラヘイム国王は首を傾げる。 確かに、アルテネのソードマスターから、そんな感じの内容の書状は届いていた。 全く関係のない話だと一蹴したが、なぜそれで弟がしゃしゃり出てくることになったのか。 「可哀相に、第一王女殿下は私に助けを求めてきたのですよ。兄上が、他国の祖父以上年齢の好色な爺のところへ、金山目当てで第一王女殿下を売り渡すという話でしたが、間違いないですか?」 ストラヘイム王は唾を飛ばしながら、カルロに怒鳴り散らす。 「それが、王家に生まれた者の定めだ。国力を上げるための政略結婚なのだ、喜んで嫁ぐのが王女の役目だろう!」 「そうですね。そういう意味では、政権争いで命を失うのも、王家に生まれた者の定めだと兄上は考えておいでだということですよね」 カルロの言葉に、顔を真っ赤にして怒鳴っていた国王はすぅと青褪めた。 「だ、誰か! 誰か、この者を捕らえよ!」 「はは、お前は間違えたんだよ、ストラヘイム王」 兄弟の会話に、陽気な声が割り込んできた。 現れた人物に、ストラヘイムの国王は眉間に皺を寄せる。 「お前は……」 「どうも、初めまして。カルロの夫の、ノルディアスだ。遅くなったが、最高の伴侶を贈ってくれた御礼を言いに来た」 「兄上、紹介しましょう。私の夫です」 ノルディアスが姿を現すとカルロは嬉しそうに声を弾ませながら、その隣にそっと寄り添う。 ノルディアスは満足そうに笑うと、カルロの腰をぐっと引き寄せた。

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