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第10話 前世の敵は今世の伴侶【終】

世界的にも貴重なソードマスターが、二人。 ストラヘイムの国王は、騎士たちが一切の抵抗をしなかった理由を理解した。 「やはり……いつか、お前が裏切る日が来ると、思っていた」 ストラヘイム王は玉座に座ったまま、ぎりり、とその表情を歪ませる。 「兄上……」 カルロはその姿に胸を痛めたのか、ほんの少し残念そうな顔をした。 しかしノルディアスは、そんな国王を嘲笑うかのように肩を竦める。 「いいや、それは結果論だな。お前がカルロの主人たる価値があったなら、こうはならなかったさ」 「なんだと?」 「カルロを信じなかったこと、アルテネに贈り付けたことが、お前のミスだ」 そうきっぱりと言われ、ストラヘイム王は腹を立てた。 そんなわけがない。 カルロをアルテネに贈るだけで、厄介払いできるはずだったのだ。 アルテネの国王が男嫌いだとわかっていたから、カルロを贈り付けたのだから。 同族婚を認めていない宗派を国教とするこのストラヘイムに、カルロが戻って来れるわけもなく。 休戦できる上、アルテネの国王に嬲り殺されてくれれば、万々歳で。 「わ……私を殺しても、同性婚なんぞをしたお前を、国民が受け入れるわけがない! お前はストラヘイムの王たりえん!」 兄王の怒号に、二人は顔を見合わせた。 「お前の兄は馬鹿だな」 「ええ、申し訳ありません。しかし、第一王女殿下は間違いなく、良い女王になりますから」 にこり、と微笑みながら姪を褒めるカルロに、ノルディアスはむすっとした態度をとった。 「ああ、確かに賢い娘だったが……あの娘は、に似ていてなんとなく気に食わん」 「き、騎士たちは何をしている! おい、騎士団長!!」 国王は叫んだが、それに応じる者はいなかった。 全員が、アルテネという国の後ろ盾を持った、賢い第一王女側につくことを決めたのだ。 第一王女は「不幸な死を遂げた父王」に代わり、これからストラヘイムの女王となる。 「拗ねないでください。今の私の主人は、ノルディアスですよ」 カルロからちゅ、と頬にキスをされて、ノルディアスは見る間に機嫌を直す。 「愛してる、俺の半身」 「ええ、私も愛しています」 前世で敵だったふたりはお互いの腰に手をやり、今世で結ばれた奇跡を分かち合ったのだった。

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