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最終話 「滲ませて」
聞き取りが終わる頃にはすでに日が暮れていた
建物の外に出ると、Milanが立っていた
「部屋まで車で送る」
「はい」
久しぶりに口を利いた気がする
車内ではしばらく無言が続いた
聞きたいことはたくさんある。
初めから俺のことは知っていたのか
なぜすぐに聞き取りを行わなかったのか
あなたは一体どこまで気付いてる?
頭に浮かぶ言葉は表に出ることなく俺の中へと消えていった
あっという間に部屋に到着した
「じゃあ、俺は戻る
戸締まりはちゃんとしろよ」
「…はい……あの!」
車に乗り込もうとしているMilanが動きを止めた
「…なんだ?」
「初めから…知ってたんですか?」
「…ああ。君が島に着いたときからずっと見張っていた」
重要参考人として、と続けるMilanに淡々と返すしかなかった
「そうなんですね」
「君はしばらくバンコクに戻らない方がいい……言わなくても大丈夫か」
「…え?」
思っても見なかった言葉に少し驚く俺にMilanは告げた
「此処にいる理由、見つかったんだろう?」
そう言ったMilanの瞳は柔らかくて心配そうで、どこか寂しそうだった
俺はそっとまばたきを一つ彼に送った
翌朝、俺は坂を少し登った場所から景色を眺めていた
「なぁ、エメラルドって何色だと思う?」
「なにそれ、なぞかけか何か?」
ふっと笑いながら、答えてくれる人がいる
「そんなところ」
「うーん、海の色!俺色!」
「ふふっなんだそれ」
不安がなくなったわけじゃない。
でも、立ち止まって息をついてもいい場所がある。
戻ってこられる場所があると分かった
歩んでいこう
隣に立つ色を滲ませながらーー。
南国BLシリーズ Misted
fin.
Season2へ続く
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