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第2話 霧散
テーブルには南国を思わせる木の温もりをほんのり感じる器が並び、店内は柔らかな明かりに包まれていた。
Rioはグラスを傾ける。液面が揺れるたび、指先が軽くグラスの縁に触れ、Inkの意識を微かに揺さぶる。
「……東京の夜は、少し刺激が強いですね」
声は低く、甘く、息が混ざる。Inkはゆらめく指先と揺れるグラスから目をそらせず、微かな笑みを追った。
料理を箸でつまむたび、Rioの動きのひとつひとつが意図せずInkの感覚に絡む。
肩越しの視線、軽く傾ける首筋、唇の端に残る微かな笑み……
そのすべてが妖しく、Inkの理性を静かに揺らす。
「……お酒、進みますね」
Rioが甘く囁き、唇の端に微かな笑みを浮かべる。
その声の柔らかさに、Inkの胸がひとつ跳ねた
「ええ……、あなたと話していると、つい自然に飲んでしまう」
Inkはそう応えながら、内心では指先や視線、微かな香りに翻弄されている自分を冷静に認めていた。
理性では落ち着こうとしているのに、心はすでにRioの存在に引き寄せられ、柔らかな熱が胸にじわりと広がっている。
Inkは無意識に視線を止め、彼の指先や手元、グラスを揺らす仕草を追った。
胸がざわつくーー。
香りもまた、柔らかな夜の空気に溶け込み、理性をじわりと侵すーー。
Rioの存在は、じわじわと空間に広がる波のように、Inkの意識を侵食していくのであった。
触れられなくても、目に見えなくても、圧力のない力で翻弄される感覚――それを自覚しつつも、Inkは逃げずに受け入れていた。
むしろ、その感覚を静かに楽しむ自分に気づく。
外の街は夜に沈み、店内の明かりは穏やかに揺れ、
Rioの妖しさが柔らかく漂う。
息をつく間も惜しいほどの緊張感と期待
Inkはただ感じていたーー。
交錯する空気の中で、
夜とRioの中に自分の感覚が完全に引き込まれていることを、
そう気付いた次の瞬間ーー
Inkの唇は熱い感触を捉えた
「んっ……」と、小さな息がもれる。Inkは驚きの反応とともに、指先で彼の肩を受け止め、反射的に応戦する。
唇が絡み合い、湿った熱がじわじわと胸に広がる。Rioの舌先がそっと触れ、
Inkの口内に滑り込む。ぬちっ、とした感触が刺激となり、理性の端を揺さぶる。
Inkは息を吐きながら、唇を押し返し、互いの体を微かに押し当てる。濃密な湿度が二人を包み、心拍が重なる。
「んっ……くっ……」
呼吸が絡み、互いの熱が胸元や手のひらに伝わる……すべてが甘く、官能的に押し寄せた
次の瞬間ーー、
Inkが腰をぐっと引き寄せ、唇を深く重ねる。
舌が絡み合い、濡れた感触が体の奥まで伝わるたび、胸の奥がざわつく。
Rioも体を預け、吐息を漏らしながら、その熱の波に身を委ねる。
唇と舌、体温と吐息が溶け合い、ねっとりと濃密な官能が二人を包む。
息が重なり、体が小刻みに震えるたび、胸の奥の熱が波のように押し寄せる。
Inkはさらに体を押し付け、唇を貪るように絡める。
Rioが甘く低い声を漏らし、唇を吸われる快感に体を揺らす。
二人の体がぴたりと密着し、呼吸も熱もねっとりと絡み合う。
夜の空気が湿り、吐息と体温が溶け合う
湿度のある二人の世界は濃く、鮮明になっていくのであったーー。
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