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玄愛2《炯side》1

山田との恋を、俺は最後の恋にする―… 「えー、またダメになったの!?」 山田と遊ぶ予定を入れていた日に、聞きたいセミナーが入ってしまった。 俺がそれを伝えると、山田は驚いて大学のカフェテリアで思わず叫んでいた。 「興味あるセミナーだし。次にいつ聞けるか分かんねぇし」 「だって、この前もダメになったじゃん!」 確かにこの前も教授に誘われて出掛けたし、山田なら怒ると思った。 でも俺は大学生活を遊んで過ごすのではなく、自分の為になるものにしたいと思っている。 「哀沢くんって、何が一番なんだか分かんないよ」 「何って?」 「俺はさ、予定あっても哀沢くんを優先にするもん。でも哀沢くんは違うんだね」 「俺は時と場合による」 この先も一生山田と添い遂げる覚悟で付き合っているし、その長い期間のうちの一瞬の機会を逃したくない。 だから優先順位が何なのかを俺は心得ている。 ―が、山田はそれに反して毎回怒り出す。 「山田?」 山田は怒って無言で席を立って、食べかけのオムライスを片付けに向かった。 入学して3年経ったものの、こういうやり取りは大学に入って日常茶飯事だった。 俺は、またか…と思いながら残りの食事を間食してから、片付けると同時に山田の元へと向かった。 「山田、もうすぐ4限だぞ」 誰かと話している山田に声をかけた。 「山田くん、今度話聞かせてね」 「ありがとう」 こいつ…別の学科のやつだな。 確か篠原とかいったか。 山田と一緒に4限の講義へと向かう途中でも、怒っているのは変わらない。 講義中もムスッとしてる。 こうなってくると、山田はたまに『別れる』と言い出すからな。 冗談半分だとしても、俺はそれが嫌だ。 4限が終わったあと、機嫌を取るために不機嫌な山田に話しかける。 「山田」 「なに!」 「今日うちくるか?」 「えっ」 さっきまでの態度とは打ってかわって、山田の表情が明るくなる。 「うん!」 「なら…先に俺んちにいるか?合鍵あるだろ?」 「ううん。カフェテリアで待ってる」 「分かった」 そういって俺は5限の講義を聞くために移動した。 「哀沢!」 「愁弥」 愁弥とは学科が違うが被っている講義があるので、その時は隣で講義を聞くようにしている。 「カフェテリアで怒っている山田を見た気がしたが、気のせいだったか?」 「あー…遊ぶ日にセミナーが入ったことを伝えたらいつものように」 「今回は別れるって言われなかったか?」 「今回は大丈夫だった」 「可愛いなぁ山田。哀沢のことが好きで好きでたまらないの見てるこっちが楽しいよ」 山田のことを好きなのは俺も同じ。 でも好きだからといって、どんな予定を切り捨ててまで常に一緒にいる必要があるのか? 「まぁ…言われ過ぎると嫌になってくる」 「そうだな。でもそれが山田の愛情表現なんだろうな。本当に哀沢のことが好きなのが分かる」 これから先もずっと傍にいるっていうのに―… 5限が終わり、愁弥と別れて山田のいるカフェテリアへと向かった。 するとそこには、さっき山田と話していた篠原がいて、山田と連絡先を交換している最中だった。 「じゃあ、山田くん。明日からさっきのやってみよう」 「うん。バイバイ」 さっきのって何だ? 正直、俺は山田が他のヤツと話しているのが心底嫌だ。 ただ、こんな感情は山田にとって害でしか無いから言わないようにしている。 山田の場合、俺以外のヤツと話すなといったら本当に話さなくなるだろうから自分の中で感情を制御している。 「夜なに食う?」 「うーん…肉」 「本当に肉好きだなお前」 毎日肉食ってるよな。 山田は育ちがいいから気に入った肉料理メインの店は限られているが、その全ての店を共有して把握できたぐらいに俺らの仲は深まっていた。 「なに笑ってんだよ」 「んー。哀沢くんと長くいれるの嬉しいなーって。ねぇ、映画見に行こうよ」 「あぁ」 俺と少しでも長くいれるだけでこんなに嬉しそうだなんて。 本当は同棲しようと言いたいが、俺と山田の家庭環境が違いすぎて安易に口に出来ない。 山田はいいと言っても、山田の家族は俺を受け入れてくれるのだろうか… 不倫相手の子供として産まれてしまった俺を… そんなことばかり考えて前に進めない自分がいた。

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